この30年余りの間に学校教育に加わったものを思いつく端から上げてみます。
小学校生活科、小学校外国語活動、総合的な学習の時間、キャリア教育、教員自己評価、学校自己評価、学校評議員会、全国学力学習状況調査、学校マネジメント、社会体育。
こうやって並べると学校外の人には大したことのないように見えるかもしれませんが、例えば総合的な学習(105時間)の授業を用意するというのは、それだけでも膨大な時間を要するもものでした。
非常な重荷になっている部活動を一部社会人に任せようとして始まった社会体育は、そちらの方まで同じ教員が担うことでさらに負担を大きくさせました。事実上、部活動は歯止めが利かなくなったのです。
キャリア教育が大切なことは誰だって分かります。しかし職場体験を受け入れてくれる事業所を探して繰り返し折衝しなければならない負担については、誰も頭が回りませんでした
その他、学校評議会にしても教員評価にしても、愚痴を言いだせばきりがありません。
さらに、通知票や評価に対する厳密さといったものも、私が教員になったころにさほど求められるものではありませんでした。非行対策はありましたが不登校対策はありませんでした。いじめ対策も今ほど深刻なものではありませんでした。
さまざまな追加教育とそれにともなう多忙さにもかかわらずそれを乗り切れているのは、一も二もなく平成不況の中で公務員人気が高まり、望外に優秀な人たちが教員を目指してくれたからです。普通の能力ではとても太刀打ちできるものではありません。しかしそれもそろそろ限界でしょう。
ところで、さまざまなものが学校に入ってくる中で、昔はあったのに今はなくたってしまったものもいくつかあります。
思いつくままに書き記すと、例えば小学校1・2年生の社会科・理科、中学校クラブ活動(ここまでは学校の教育課程)、一泊二日の職員旅行、PTA研修旅行、忘年会の出し物、読み合わせ、職員文集、校内同好会、職員運動・スポーツ大会、デモ、体罰。
体罰がなくなったと言えば反論もありそうですが、まずほとんど見られなくなったという意味で“なくなった”も同然です(昔はものすごくあったのですから)。
デモも、組合で年に2〜3回、動員がかかって少し照れながら、商店街を歩いたりしたものです。生徒と出会ってびっくりされたり気軽に声をかけられたりと、いろいろありましたが今は役員の先生(のさらに代表)が、年に1〜2回出ているだけのようです。
それ以外のもの、一泊二日の職員旅行やPTA旅行などは、すべて研修に関わるものです。個人または職員が自主的に行っていたものがほとんどで、その意味では学校になくてはならないものではありません。
だからこそなくなったものです。
(この稿、続く)