カイト・カフェ

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「初日を終えていかがですか」~仕事には旬がある

 新しく本校にみえられた6名の先生方、初日を終えていかがですか?

 とりあえずどんな学校に移っても初日というのはしんどく、職員会議も何をやっているのか分からないのが普通です。司会の方も周知事項はとにかく一渡りやってしまえ、という感じなので理解されているかどうかも二の次になります。しかしそれもしかたないでしょう。大雑把に教育計画のどこにどんなことが書いてあるといった“頭の中の索引”づくりに心がけて数日を過ごすしかありません。

 ところで、私は新任の先生にはいつも“仕事には旬がある”というお話をします。新しい学校に来て最初の半年、あるいは一年以内くらいにしかできない、そういう賞味期限つきの仕事がある、という意味です。それは移ったばかりの学校で感じる違和感、許しがたい感じ、意欲を湧かせる何か、です。たとえば一昨年、私がこの学校に来て最初に感じた“違和感”は、改築したばかりの美しい校舎に、なんとも薄汚れた掲示物がいくつかあることです。

 掲示物というのは大雑把に二種類あって、ひとつは一過性のものであり、時期を過ぎると二度と掲示できないものです。たとえばコンサートのポスターなどで、演奏会当日を過ぎるとあとは用済みとなって捨てられるしかありません。

 もうひとつは「トイレの使い方の注意」といったもので、こちらの方は使用に耐えられる限り、5年でも10年でも張りっぱなしにできます。この後者のタイプの掲示物が、放っておくとどんどん薄汚れてしまうのです。だとしたらなぜ、ラミネート加工するなどして年月に耐えられるものにしないのか・・・。

 そこで一昨年、“私はラーミネーターだ”とか言って、掲示物をどんどん作り直し、どしどし張り替えていきました。この仕事は自分のやったことが何年でも残るという、“オイシイ仕事”でもあるのです。

 ただしこれは一気にやったからできたことで、早くやり遂げないとすぐに面倒になってしまいます。そもそもが自分に責任のあることではないのです。忙しさに取り紛れて放っておくと、半年もしないうちに目が慣れて“違和感”が薄れ、薄汚れた掲示物が薄汚れたように難じられなくなってしまいます。
(前任校ではそれで苦い思いをしました。その学校に赴任して最初に気になったのが傷んだ木製の清掃用具入れでしたが、修理に手間がかかりそうで「時間がたくさんあるときに」と思っているうちにいつかあまり苦にならなくなり、結局その学校に3年もいたのに何もせずに置いてきてしまったのです)

 
“旬のある仕事”はそうした「もの」だけではありません。その学校のシステムや様式、人間関係のあり方など、中にはいじってはいけないものもありますが、取りあえずは一度、こんなふうにしたらと提案してみることは必要でしょう。なにしろ今やっておかないとすぐに忘れしまいます。それは“旬”だからです。

 2年目、3年目の先生方へ
 “旬”を過ぎてしまっても、気になることがあったらやっておきましょう。私は先月、廃紙置き場のダンボール箱をきれいにしました。2年越しでずっと気になっていたことです。