カイト・カフェ

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「『これをやったら絶対に許さない!』と宣言をしたことを、子どもがやってしまったら、その子はどういう目に会うことになります?」~私のやった緊急取材

 イジメ問題を扱った新聞記事などを読んでいると、ときどき「教師には『イジメは絶対に許さない』といった毅然とした態度で臨むことが期待される」といった文に出会うことがあります。
 これが分からない。

 一人が別の一人をボコボコに殴っている横で、教師が腕を組んで偉そうに「私は、イジメを絶対に許さんぞ!」と叫んでも、普通はなにも起こらないはずです。もしかして同じことを何度も言っているうちに「ウゼーな!先公!」とか言って殴りかかってくるかもしれませんが、「イジメを許さん」と言って素直にやめるような子は(テレビドラマ以外では)普通はいません。マスコミは「毅然として臨む」にどういうイメージを持っているのでしょう?

 私はかつて、会う先生ごとに「もし、先生が『これをやったら絶対に許さない』と宣言をしたことを、子どもがやってしまった場合、その子はどういう目に会うことになります?」と聞いて回ったことがあります。
 これは30年前だったらまったくの愚問です。なぜなら30年前に先生が「絶対に許さない」と言われたことをやった子どもは、5秒以内にボコボコにされていたからです。少なくとも平手でぶん殴られるのが普通でした(40年前の私がそういう目に会っていたから絶対に確かです)。ところが体罰厳禁、大声を張り上げるのも教師のたしなみとしていかがなものかという時代になると、『毅然として許さない』の意味が分からなくなってしまったのです。

 調査の結果は意外なものでした。
――私が絶対に許さないと言ったことを、子どもがやったことはない。
 確かに、それが毅然とした教師の元でもっとも起こりそうなことです。しかしなぜ、子どもたちは教師の言葉を乗り越えようとしないのか、その秘密はおそらくその先生の教室を一日中観察していないと分からないことなのでしょう。

――そもそもそういう言い方はしない。
 確かに、落としどころの分からないままそんな言い方をしたら損ですよね。

――小一時間は怒鳴りまくられるかな?
 それ、あまり良くないってことになっていると思いますが・・・。

 結局分からないので、自分は自分にあった方法で対処するしかありませんでした。

 私の場合、私が「絶対に許さない」と言ったことをやった子どもは、一週間くらい休み時間を失います。私はけっこう粘着質なのです。同じことを何度も訊ねたり、ときどきドヤシあげたりまたなだめたり、そういうことはいくらでもできましたから(最近、歳を食ったらこらえ性がなくなりましたが)。

 ところで皆さん、
 先生が『これをやったら絶対に許さない!』と宣言をしたことを、子どもがやってしまった場合、その子はどういう目に会うことになります?