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「年金未納の話」~将来、年金制度は崩壊するといったマヤカシを信じてはいけない

 先週14日の新聞各紙は<国民年金>未納率40.7%…最悪を更新といった見出しで、国民年金の納付率が6割を切ってしまったことを報じています。このまま行くと国民の半数が納付しない時代も予想され、今後の高齢化社会を考えるとまさに危機的な状況と言えます。

 また将来、納付率がさらに下がって国民年金制度が崩壊することを考えると、今マジメに払っている人たちはやがてバカを見るわけで、だったらいっそのこと国民年金を払わずその分を貯蓄に回したほうがいい・・・と、そんなふうにも読める記事です。
 しかしそんなことはありません。

 国民年金の加入者は大きく3種類に分けられます。その第一は「20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人」で、これを第1号被保険者と言います。
 二番目のグループは「民間企業の社員や公務員など厚生年金、共済の加入者」で、これを第2号被保険者といい、その第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)が第3号被保険者となります。
 基本的に第3号被保険者の保険料は配偶者である第2号被保険者が支払っていますから、この人たちに支払い義務はありません。

 私たちサラリーマンは厚生年金や共済年金に入っているので国民年金とは関係ないような気がしていますが、実はそれらの基礎年金として国民年金にも加入しており、給料天引きのかたちで毎年支払いを続けているのです。

 年金未納が問題とされるとき、この第2号・第3号被保険者は最初から数に入っていません。天引きですから未納ということがないからです。年金を直接納入しているのは第1号被保険者(20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人)だけで、その数は全体のわずか11%あまりです。そしてその11%うちの40.7%(全体から比べると5%ほど)が保険料を未納にしているだけなのです。たかだか5%の未納の国民年金が崩壊するはずがありません。

 また国民年金は保険料だけで成り立っているのではなく、その半分を税金に負っています。ですからこのまま未納者を続けると、将来、自分は年金をもらわないのに他人の年金を支えるために税金を払い続ける、といったことになりかねません。それに年金といっても老齢年金ばかりでなく、遺族年金も障害者年金もあります。万が一のときにどうするのでしょう。

 最初に話を戻しますが、こうした国民年金の仕組みがありそれをマスメディアは十分知っているはず南緯、なぜマスコミは未納率の話ばかりして私たちの危機感をあおるのでしょう?

 国民年金の保険料は納入しないと絶対に損です。それにもかかわらず国民年金の制度がもう限界に近く、払わない側に与したほうがいいような書きかたをするマスメディアは、それだけでも犯罪的な気がするのですが。