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「運動会に関するウンチク」~運動会のあれこれ①

 運動会が近づいて、練習もいよいよ佳境にさしかかってきました。さて、運動会についてあれこれ、調べたこと感じていることを書いてみます。

  1. 日本で最初に行われた運動会は1874年(明治7)の海軍兵学校競闘遊戯会であるといわれています。ただしこの会は単発のものであって、学校教育の中に組み込まれ毎年行われる運動会は1878年(明治11)に札幌農学校で開催された遊技会が最初であると考えられています。この遊技会は、わずか数年のうちに北海道内の多くの小中学校に広がりました。そしてその後、初代文部大臣の森有礼が全国に広めたようです。

  2. 運動会は、かつて学校だけでなく、地域や企業でも盛んに行われていました。しかし各種娯楽の増加や個人主義の広がり、また不況の影響もあって企業運動会はほとんど行われなくなり、参加率の悪さかから地域運動会もずっと少なくなりました。
    私の住んでいる地域でも、数年前から運動会をやめてしまっています。商品にザルやらフライ返しやらがもらえる運動会も楽しかったのですがね。

  3. 学校の運動会も、かつては地域の一大イベントでした。私は記憶にないのですが、当日は綿菓子屋や金魚すくいなども出たようで、朝の花火から始まってまったくのお祭気分だったのです。

  4. 数年前、当時勤めていた市の議会だか教育委員会だかで「運動会の観客席で、保護者が酒を飲んでいるのはいかがなものか」という話が出て(投書があったのかもしれません)、全市内一斉に『運動会における禁酒令』が出たことがあります。
     私の勤務していた学校は特に田舎だったこともあり、この禁酒令はすこぶる不興で、「飲めねェなら運動会にはいかねぇ」とか言って怒っているお父さんもかなりいました(結局は来ましたが)。そのわずか2〜3年前までは、観客席の後ろでバーベキューをしながら観戦していたといいますから、禁酒などもってのほかだと感じられたのでしょう。
    運動会を教育活動の発表と考えれば確かに「飲酒はいかがなものか」となりますが、地域の一大イベントと考えると「禁酒はいかがなものか」という思いにも駆られます。
     個人的にはバーベキューをやりながらビールを飲んで、いざウチの息子の出番となると(酔った勢いもあって)ギャーギャーと騒ぎまくる応援もけっこういいなと思います。だって村祭ですから。これこそ地域と一体の学校じゃないかとも思うのです。

  5. 何年か前に、極端な平等主義から一部の学校では「手をつないで一緒にゴールを切らせる短距離走」が行われるようになり、馬鹿げたこととして国会でも問題になったりしたことがあります。
     これは「学校のおバカな話」として今でも持ち出されますが、いつ、どこの学校でやっていたという情報はまったくありません。ネット上では「90年代にウチの学校ではやっていました」といった書き込みもありますが、「ウチの学校」が特定されたこともありません。
     1970年代の『口裂け女』や『なんちゃってオジさん』を凌ぐ都市伝説に日本中が踊らされたとしか思えないのですが、学校はバカだというメッセージだけは広く伝わりました。

  6. 運動会に関わる「学校のおバカ」に類するものとして、最近広まっているものに児童観覧席の全面テント化があります。
    「子どもが熱中症になったらどうするんだ」とか
    「日焼けによって将来皮膚がんになったらどう責任を取るんだ」
    とかいった一部の保護者の要求に応え、市のあちこちから大型テントをかき集め、全児童をテント下に置こうというものです。
     実際やってみると分かるのですが、太陽は移動するので常時日陰にいられる子はごくわずかです。年に一度の日焼けで皮膚がんになるなら、私たちの世代はもう全滅しているはずでしょう(何しろ毎日意図的に焼いていましたから)。
     いまのところごく少数の学校で済んでいるのでいいのですが、これが5校6校と増えて行ったらどうなるでしょう。市内の公共機関の保有するテントなど数が知れています。民間を漁ったとしても大したことはないでしょう。このまま行けばいつかテントが用意できないため、運動会を中止せざるを得ない学校が出てくるかもしれません。

  7. かつては練習に毎日5時間もかけるほど夢中になって取り組んだ運動会ですが、最近は極端に簡略化されてきています。学力向上の上でやむをえないのだそうです。
     子どもに体力や胆力をつけさせ、集団性を高める上でたいへん価値あるものですが、学力世界一はそれよりも大切なものだと考えられているようです。
     なにか違っているようにも思うのですが。