カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「子どもが全員、無理なく完食する方法」~秘法伝授:給食の指導②

 学校給食は生徒が一日に必要なカロリーや栄養素を細かく計算し、その三分の一を与えようというものです。したがって少なくともクラス全体として、給食は完食されなければなりません。大食の子もいれば小食の子もいます。これ以上食べない方がいい子もいれば、もっともっと食べたほうがいい子もいます。ですから個人差は認めるにしても、クラス全体としては食べきらなくてはなりません。出されているのは生徒に必要な量だからです。

 完食するためには、とりあえずクラスに渡されたものはすべて配膳されなければなりません。ただし皆に平等に持ったらそれは不公平です。たくさん食べられる子はそれなりに、少ししか食べられない子もそれなりに、少しずつ頑張ればいいだけのことです。

 教室に行って食缶やボールにおかずが残っていたら、その生徒の胃腸の能力に応じて残った分を盛り分けます。担任になり立てで生徒の実力が分からないうちは、本人の意思を確認しながら配ります。
「おい、もう少し食えるだろう?」「いくらなんでも、それじゃあ少ないだろう?」
それでも配りきれなければそのときはあきらめます。特に切干大根や混ぜご飯などは、実質は少なくても見た目にカサがいきますから、ボンと盛られるとビビるのです。

 次に大切なのは、とにかく担任が「うまい」「おいしい」「ガンガン食べられる」と、いかにもおいしそうに食べることです。これはNHKの番組で実験していたことですが、生徒は、基本的にただ一人大声でしゃべることの許されている担任の言葉に引きずられます。担任が「具合が悪い」「おいしくものが食べられない」といいながら食べれば、ウンザリするほど食べ残しが出るのです。

 三番目に大切なことは、食べ終わったら空の食缶やボールを見せ、大いに感心し、ほめるのです。「なんというすごいクラスだ」「フライの尻尾一本ですら残らないじゃないか」「こんなクラスは全校でここだけだ」・・・といった調子です。

 そんなことが一ヶ月も続くと、そのクラスはもう残すなんてことはできなくなります。なんといっても、それぞれが少しずつ頑張ればいいだけのことですから。それで1年間、何の苦労もなく給食が進み、好き嫌いのない子ができあがります。

 エ? さっき「それでも配りきれなければそのときはあきらめます」といった、その分はどうなったかって?
 もちろん最初の1~2ヶ月間は、私が死ぬ思いで全部食べています。