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「教育バウチャー制度」~いちおう頭の隅に置いておきましょう

 自民党総裁選挙が公示され、3候補の政見や政策が出揃いました。安部晋太郎さんで決定のようなので、安部候補の政策構想だけはと思い丁寧に読みましたが、その中で「教育バウチャー制度」を導入するという件があって気になりました。

「教育バウチャー」というのは一種のクーポン券です。市町村が支出する学校教育費を計算し、一人当たりの費用を割り出して個人に割り振ります。児童生徒およ保護者は、そのクーポン券を持って、自由に学校を選ぶのです。
 例えば、私たちの市の小学生のバウチャーが20万円だった場合(この金額は仮のものであって、いくらくらいになるか、私にはまったく想像がつきません)、本校の児童がN小に移ると本校の予算が20万円減り、自動的にN小の予算が20万円増えます。
 児童の減少がそのまま学校予算に跳ね返るのですから、学校は自然に競争的になり、教育の質が上がる、と考えられています。

 学校同士が苛烈な競争にさらされるわけですから、教員にとってはすこぶる評判が悪い制度ですが、見方を変えれば悪い面ばかりではありません。
 例えば、学校で問題があっても、そのいくつかは選択者の自己責任としてつき返すことができます。
「この学校を選んでいるんだから、いろいろ文句を言わないの!クーポン持ってるんだから、イヤなら他の学校に行けば?」

 また、児童生徒が学校を選ぶ基準となる「学校の質」それ自体を守るために、学校が子どもを選択する可能性も生まれてきます。
「部活が強いからこの学校に来たいって言うけど、君がくれば弱くなっちゃうからダメ!」

 だからと言って、私がこの制度に賛成なわけではありません。1番問題なのは、子どもたちが学区を越えて自由に学校を選び始めると、地域の繋がり、地域コミュニティーというものが決定的に損なわれるからです。その意味では教育バウチャーに限らず、学校の自由選択制には全て反対です。

 いずれにしろ、自民党の総裁選、気になるところです。