カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「明日は夏至・日の出が一番早く、日の入りが一番遅い、わけではない」~夏至のウンチク

 明日は夏至
 影の薄い二十四節季のひとつで、これといった行事もない。
 これといったウンチクもないが、ただひとつ、
 子どもに話す価値のある話がある。
という話。(写真:フォトAC)

【明日は夏至です】

 明日は夏至です。二十四節季のひとつで、一年で一番昼の時間が長く夜の時間の短い日として知られています。
 二十四節季というのは紀元前4世紀ごろ中国で発明された四季・気候などの観点から一年を仕切る方法で、しかし中国由来ですから我が国の気候に合わない面もあり、そこで日本では二十四節気のほかに「土用」「八十八夜」「入梅」「半夏生」「二百十日」などの「雑節」と呼ばれる季節の区分けを取り入れ、旧暦の中で使うようにしてきました。
 
 雑節はいっぱんに九つあるとされますから、二十四節季と合わせると全部で33。その中で天文学的な事実と重なるのは夏至冬至、そして春分秋分の四つだけです。春分秋分は彼岸参りと結びついて日本人の心に深く定着していますし、冬至もクリスマス近辺でカボチャを食べ、ゆず湯に入る日としてなんとなく記憶の隅に置かれています。ところが夏至となるとつい先日の「父の日」同様、まったく影が薄く、何か特別な行事があるのかさえ定かではありません。

夏至の行事はこれといってない】

 そこで調べてみるとやはり梅雨の真っ最中、しかも農繁期なので行事が入れにくいようで、全国共通なものとしてはこれといったものが見つかりません。地方に目を向けると静岡県には冬瓜を食べる風習があり、関東をはじめ島根県熊本県では新小麦で焼きもちを作って食べる習慣もあるようです。その程度です。
 
 唯一有名なのは三重県にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)で開催される夏至祭です。
 神社の向かいの海に有名な「夫婦岩」(タイトルの写真)があり、夏至の日の前後には岩の間から朝日がのぼるのを見ることができるのです。それがちょうど富士山の方角でもあり、山頂のシルエットと重なって神々しい雰囲気を醸し出しているといいます。
 例年の夏至祭では、早朝の3時30分から祭典が始まり、たくさんの参拝者が日の出を拝み禊行事を行うそうです。

【日の出が一番早く、日の入りが一番遅い、わけではない】

 この記事の一番初めのほうで、「一年で一番昼の時間が長く、夜の時間の短い日として知られています」と書きました。そこに嘘はないのですが、夏至は日の出が一番早く、日の入りが一番遅い日であるわけではありません。
 夏至についてはこれといったウンチクもトリビアもありませんが、唯一これだけがひとを驚かせるものかもしれません。
 日本が北半球の中緯度地域にあることから生じる現象だと思うのですが、日本では日の出が最も早い日は夏至の1週間前ごろであり、日の入りが最も遅い日は夏至の1週間後ごろになります。
 今日の時点で言えば、すでに日の出は遅くなりつつあるのに、日の入りが遅くなる速度の方が早いために日中の長さが伸びていたのに、明日それが停止し、明後日から逆転するために日が短くなっていくのです。

 あとはただ、
「太陽が昇っている時間が一番長いのが6月20日ごろなのに、気温が一番高くなるのは8月上旬なのはなぜか」
という謎が残るだけです。
「今は梅雨で陽が差さないから気温が上がらない」
は答えになりません。北半球では梅雨のない国だって夏は7~9月なのですから。