カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「ハロウィンって何だったっけ?」~いちおう、正式に調べてみよう

 今夜はハロウィンです。
 とは言っても今朝あたり子どもたちに聞けば「昨日やったよ」とか「土曜日にやっちゃった」といったふうに、仮装してあちこち歩き回る行事の大部分は土日のうちに済んでしまっているのかもしれません。
 ハロウィンは10月31日の夜なのだから日を変えてはだめだ、といった杓子定規はこの国には通用しません。必要ならクリスマス・イブだって誕生日(パーティー)だって変更してしまいますからハロウィンなんて軽いものです。そもそも全国一斉コスプレ・パーティくらいにしか考えていないこの行事を、10月31日に限定すること自体が無理なのです。

 さて、私は長くこの「ハロウィン」を万聖節の前夜祭だと思い込んでいました。英語の「ハロウィン」は『万聖節の夜』を意味する "All-hallow Evening" の短縮形を語源とすると聞いていたからです。
 もっともこの段階ですでに厄介な問題があり、「万聖節(今は「諸聖人の日」と言うそうですが)は11月1日なのに「万聖節諸聖人の日)の夜=All-hallow Evening」が10月31日の夜なのは何故なのか」というところから調べなおさなければなりません。
 それはクリスマス・イブも同じで、子どものころ「イブというのは『前夜祭』という意味です」とか教えられてすっかりその気になっていたのですが、”Evening”はやはり”Evening”、つまり「当夜」でしょう。
 そのからくりは古代において、「一日の終わりは日没」というルールがあったことによります。つまりキリストの誕生日である12月25日は前日(24日)の日没から始まっていますから、「クリスマスの夜(クリスマス・イブ)」は現代の24日夜に祝わなくてはならないのです。
諸聖人の日」も同じで、10月31日の日が没した瞬間から11月1日は始まっていますから、「諸聖人の日の夜(ハロウィン)」の祝いも、現代の10月31日夜にやらなくてはならないのです。(*注)

 私はついさっき『長くこの「ハロウィン」を万聖節の前夜祭だと思い込んでいました』と書きましたが、ここまでの話だと「万聖節諸聖人の日)の前夜祭」という考え方は間違っていないことになります。
 確かに言葉の説明としてはそれで正しいのですが、私たちの知っているすべてハロウィン行事――お化けの仮装だとか、ジャック=オー=ランタンだとか、トリック・オア・トリートだとかは全部「諸聖人の日」と関係なく、それどころかキリスト教徒の中では「批判するか容認するか」といったレベルのものらしいのです。
 それらすべては古代ケルト人、つまり異教徒の行事で、彼らをカトリックに改宗させる際、ケルトの収穫祭に合わせて「諸聖人の日」を移動したために二つの行事が混同されたのであり、キリスト教会の立場からするとハロウィンはおよそキリスト教的ではないということで一致しているのだそうです。

 ハロウィンはアメリカで独自の発達をしてジャック=オー=ランタンもカブからオレンジカボチャに変わり、子どもによるお菓子強要行事も入って、収穫祭だの季節の変わり目だのといった感じも亡くなってしまいました。
 それがさらに日本に定着して、ケルトもキリストなく、カボチャはカキに変えようと画策され、仮装もお化けや魔女だけではなくポケモンからアイドル・人気キャラまで――こうなるともうすっかり日本の行事です。
 二の四の言わず日本の景気刺激の一助くらいに思って、みんなで盛大に祝おうじゃありませんか。

 ハッピー・ハロウィン!!

(*注)
 
江戸時代の日本は古代ヨーロッパと反対で、日の出をもって一日の始まりとしました。ですから元禄15年12月14日の赤穂浪士の討ち入りは、現代では15日早朝の事件です。また「日の出が一日の始まり」なので正月の「二年参り」も、日の昇る前に神社仏閣へ行き、日が昇ってから帰ってくればいいことになります。現代の「二年参り」に比べたらずっと楽な行事だったはずです。