新型コロナの全数把握が終わり、日々の様子が見えなくなった。
第9波が始まっているかもしれないというのに。
しかしそれも仕方ないだろう、いつか通らねばならない関門だ。
ただし何もなかったかのように、このままただ行き過ぎてはいけない。
という話。(写真:フォトAC)
【新型コロナが5類になって全数把握が終わった】
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが今月年5月8日、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行しました。それに伴っておよそ3年4カ月続いた感染者・死亡者の全数把握も終了し、7日の集計が8日に発表されたのを最後に、以後更新されなくなりました。
今後は定点把握といって、全国5000か所ほどの医療機関から週一回報告される感染者数等をまとめて、翌週金曜日に発表するのだそうです。ですから今週の集計分が発表される来週5月19日の金曜日が、第一回ということになります。
私は数字や統計が大好きということもあって、この3年数カ月、国内の代表的な都道府県(最初に非常事態宣言が出された13都道府県)と、初期に感染爆発のあった8か国(韓・米・英・仏・独・伊・スペイン・イラン)そして日本を継続的に記録し、さらに任意の37カ国についても最新の数を記録してきました。
国内についてはNHKのまとめたものを引き写し、海外に関しては日本経済新聞がジョンズ・ホプキンス大学の集計したものを、まとめ直してWeb上に公開していましたので、それを写しました。その日経新聞のサイトもジョンズ・ホプキンス大学が集計をやめた3月9日より停止しているので、更新はありません。
以来、国内分だけを更新してきたのですが、それも5月8日で終了ということになったのです。
【第9波の入り口かもしれないこのタイミング】
ただしこの全数把握終了、タイミングとしては実によくないものでした。
3月の末日辺りに第8波の感染者数が底を打ち、4月の20日付近で死者も最低値となって、さて、第9波が始まったのかそうでないのか、様子を見始めたころでゴールデンウィークに突入、病院が休みのために検査数が減って感染者数も死者も下がった、下がったが第9波は始まっているのかもしれない、そんな状態で全数把握が終了したわけです。実に気持ちがすっきりしない。
観光地には外国人を中心にマスクをしない人々が大挙して押し寄せ、8日以降は飲食店のパーテションも撤去されて従業員もマスクを外し始めました。ですからきっと感染は拡大しているはずなのに、この点での定点観測への移行、来週金曜日まで発表がないというのは何とも歯がゆいことです。
全数把握の終了はいつか通らねばならない関門です。だから5類への移行に反対する気はないのですが、それでも自分の属する世界の様子が見えなくなるのは何となく不安です。どんなに厳しい現実でも、自分で把握して、自分の生き方は自分で決めたいのです。
【数字は“ほぼ大丈夫と言っているが・・・】
数字は、
「今はさほど怖れなくてもいい、基礎疾患のある人と80歳・90歳といった超高齢者は慎重になるべきだが、それ以下は高齢者といえどまだ何とかなりそうだ」
と教えてくれます。さらにかつて大病をしたことのある私の心には、
「子育ても終わり、定年退職も過ぎた人々は、もうそろそろ死んでもいいでしょう」
といった言葉も浮かんできます。もちろん口には出しませんが自分自身については強くそう思っています。
しかしそうはいっても私たち高齢者の中にも感染を怖れ、50年来の仲間の中にはどう誘ってもいまだに飲み会に出席できない人もいます。
それも理解できないわけではありません。
【コロナ忘却の進む前に】
新型コロナ感染の現在位置はどこなのか、この先どうなっていくのか、もう世間は「新型コロナ忘却」へと駒を進めようとして、こだわる人も少なくなっています。しかし私はもうしばらく見ていたいと思うのです。謎が山ほどあるからです。
例えば、
- ・英仏は日本の1年も前にコロナ禍を脱出したように見えるが、どのようにしてそれを行ったのか。
- コロナ感染回避の優等生、K防疫の韓国はどうなったのか。
- 人気の女性宰相アーダーンはニュージーランドを感染から救いきったのか。
- 同じく女性を元首に頂く台湾は感染拡大を防ぐことができたのか、ベトナムは? シンガポールは?
- 厳しい規制を避けることによって集団免疫を形成しようとしたスウェーデンはどうなったのか。
- エチオピア出身の世界保健機関(WHO)テドロス事務局長は、貧しいアフリカ諸国がワクチンを買うこともできず、コロナウイルスにずたずたにされることを心配したが、実際にはどうだったのか。
- 結局、中国はどうだったのか。
- 結局、日本はコロナ防疫に失敗したのか、欧米に比べて1年近くも規制解除が遅れたのは政府の重大なミスだったのか。
そういったことについて、しばらく数字を見ながら考えてきたいと思います。
(この稿、続く)