和暦(元号で表される暦)と西暦が併用される日本は何かと不便。
だからと言ってどちらかを棄てるわけにもいかない。
そこで基本的な部分だけを暗記して、
あとは計算する簡単な方法を考えた。
という話。 (写真:フォトAC)
【昭和2年って西暦で何年だ?】
今年94歳になる母がワクチン接種の際、書類に誕生年を西暦で書けという項目があり、普通のひとは困ったろうなあと思いました。この年齢で誕生年を西暦で問われることはあまりないと思ったからです。
私はこの件に限って“普通のひと”ではなく、元社会科教師ですからすぐに答えられます。母は昭和2年生まれですから1925に2を足して1927年が生まれ年です。足す数が「2」ですから計算も簡単です。
昭和の年数に1925を足せば西暦、だからといって西暦から1925を引けば昭和には必ずしもなりませんが(というのは1990年以降が平成・令和だから)、昭和だと目星がつけられればこの計算でかまいません。実際には西暦の下二けたから昭和の年数を引けばいいだけです。
社会科の教師をやっているとこういうことは日常茶飯事です。
覚えておく数字は五つ。1867年と1911年、1925年と1988年、そして2018年。それぞれの数字を西暦から引けば、明治・大正・昭和・平成・令和の年数になります。もっとも現職の最後は令和以前でしたから、2018年は覚えていたわけではありません。
しかし世の中には、年号を五つも覚えるなんてとてもできないという人もいます。私がそうです。
そこで社会科教師お得意の「年表語呂合わせ」を持ち出します。
1967年=「一夜空しく江戸幕府の滅亡」
1911年=「行くぞワンワン小村寿太郎」(小村寿太郎による条約改正)
1925年=「行くぞ25歳だ普通選挙へ」(25歳以上男子のみの普通選挙開始)
いずれも中学生なら絶対に覚えておかなくてはいけないものばかりです。
また、明治の最大の国家目標は条約改正でしたから、それが成った1911年(明治44年)の翌年明治天皇が崩御され、1925年(大正14年)に普通選挙法が成立して大正デモクラシーが絶頂期を迎えると同時に治安維持法も制定され、昭和軍国主義の足音がし始めた次の年に大正天皇が崩御されたことも、歴史の必然のように見えてくるので押さえておきたいところです。
昭和から平成に移る前の年、1988年については語呂合わせに頼らずに覚えます。翌年の1989年がものすごく大切なので、そのまま覚えた方が得なのです。
遡ること300年前の1689年以来、下二けたが89の年は民主主義に関わる重大事件が必ず起こっているからです(一部は日本のみ)。
1689年 権利の章典の制定
1789年 フランス革命
1889年 大日本国憲法制定
「89年」を知っていれば三つの事件が同時に覚えられます。便利でしょ?
こうした事情があって、私は1989年の何年も前から、「89年には何かが起こるぞ」と生徒に繰り返し予言していたのです。まさか昭和が終わるとは思いませんでしたし、中国で天安門事件が起こり、東ドイツでベルリンの壁が崩壊するなど、まったく予想もしませんでしたが――。
また、昭和のあいだじゅう決して口に出すことのなかった憲法改正や自衛隊の海外派遣が、論議のされるようになったのもいかにも1989年以降らしいできごとでした。
1988年はその前の年です。
以上、そうやって五つの年号を暗記しておくと、
1867+明治の年数=その年の西暦表記
1911+大正の年数=その年の西暦表記
1925+昭和の年数=その年の西暦表記
1988+平成の年数=その年の西暦表記
で、和暦・西暦の換算が楽だというお話です。
私はこの件に限って“普通のひと”ではなく、元社会科教師ですからすぐに答えられます。母は昭和2年生まれですから1925に2を足して1927年が生まれ年です。足す数が「2」ですから計算も簡単です。
昭和の年数に1925を足せば西暦、だからといって西暦から1925を引けば昭和には必ずしもなりませんが(というのは1990年以降が平成・令和だから)、昭和だと目星がつけられればこの計算でかまいません。実際には西暦の下二けたから昭和の年数を引けばいいだけです。
社会科の教師をやっているとこういうことは日常茶飯事です。
覚えておく数字は五つ。1867年と1911年、1925年と1988年、そして2018年。それぞれの数字を西暦から引けば、明治・大正・昭和・平成・令和の年数になります。もっとも現職の最後は令和以前でしたから、2018年は覚えていたわけではありません。
しかし世の中には、年号を五つも覚えるなんてとてもできないという人もいます。私がそうです。
そこで社会科教師お得意の「年表語呂合わせ」を持ち出します。
1967年=「一夜空しく江戸幕府の滅亡」
1911年=「行くぞワンワン小村寿太郎」(小村寿太郎による条約改正)
1925年=「行くぞ25歳だ普通選挙へ」(25歳以上男子のみの普通選挙開始)
いずれも中学生なら絶対に覚えておかなくてはいけないものばかりです。
また、明治の最大の国家目標は条約改正でしたから、それが成った1911年(明治44年)の翌年明治天皇が崩御され、1925年(大正14年)に普通選挙法が成立して大正デモクラシーが絶頂期を迎えると同時に治安維持法も制定され、昭和軍国主義の足音がし始めた次の年に大正天皇が崩御されたことも、歴史の必然のように見えてくるので押さえておきたいところです。
昭和から平成に移る前の年、1988年については語呂合わせに頼らずに覚えます。翌年の1989年がものすごく大切なので、そのまま覚えた方が得なのです。
遡ること300年前の1689年以来、下二けたが89の年は民主主義に関わる重大事件が必ず起こっているからです(一部は日本のみ)。
1689年 権利の章典の制定
1789年 フランス革命
1889年 大日本国憲法制定
「89年」を知っていれば三つの事件が同時に覚えられます。便利でしょ?
こうした事情があって、私は1989年の何年も前から、「89年には何かが起こるぞ」と生徒に繰り返し予言していたのです。まさか昭和が終わるとは思いませんでしたし、中国で天安門事件が起こり、東ドイツでベルリンの壁が崩壊するなど、まったく予想もしませんでしたが――。
また、昭和のあいだじゅう決して口に出すことのなかった憲法改正や自衛隊の海外派遣が、論議のされるようになったのもいかにも1989年以降らしいできごとでした。
1988年はその前の年です。
以上、そうやって五つの年号を暗記しておくと、
1867+明治の年数=その年の西暦表記
1911+大正の年数=その年の西暦表記
1925+昭和の年数=その年の西暦表記
1988+平成の年数=その年の西暦表記
で、和暦・西暦の換算が楽だというお話です。
【あれ? 今年は昭和で数えると何年?】
ついでですので、元号を飛び越えての年数の計算についても話しておきましょう。
「あれ? 今年は昭和で数えると何年?」というアレです。
実は今年(令和3年)が昭和何年かという計算は、昭和生まれの私にとってはひじょうに簡単なものです。
(自分の誕生年)+(今年の誕生日に迎える年齢)
で出ます。
ちょっと虚を突かれた感じですが、今年が昭和何年かというのは、生まれた年までの昭和の年数(誕生年)に、生まれてから今年までの年数(年齢)を足してやればわかる――少し考えれば当たり前すぎるほど当たり前の話なのです。
もっとも私の場合は先にも書いた通り、昭和2年生まれの母が存命で今年94歳になりますから、(2+94)で昭和96年だとすぐに計算できます。二けた同士のたし算より一けたと二けたのたし算の方が簡単ですから、母の生きている限りはこれを使わせてもらうことにします。
このやり方、若い人には関係ないみたいですが、今年が昭和96年だと計算しておいて、亡くなったお祖父ちゃんが昭和10年生まれだと知っていれば引き算をして、
「ああ、お祖父ちゃん、生きていれば今年86歳なのね」
とか呟けば、
「まあ、死んだお祖父ちゃんの歳まで数えていてくれるなんて、なんていい子なんでしょ」
とかいうことになって小遣いが稼げるかもしれません。
平成生まれの人も、昭和生まれ同様に自分の生まれた年に年齢をたせば令和3年が平成33年だとたちどころに計算できます。ただし平成・令和については特殊事情があって、誰にとっても計算は簡単なのです。平成は31年まであって令和元年と重なっています。ですから令和に30をたすだけで今年が平成何年か計算できるのです。
令和3年は(30+3)で平成33年です。今後もそうです。
昭和生まれが社会の多数派でいる限り、「今年は昭和何年?」は話題に上がる可能性があります。しかし今年が大正何年かを気にする人はほとんどいないでしょう。大正生まれが極端に少ないからです。
では「今年は明治何年?」も話題にならないかというと、これもまた特殊事情で話題になるときはなります。「文明開化から何年?」という話ですから。
同様に「終戦(1945年)から何年?」も大事でしょう。時代が決定的に変わりました。
残念ながらこの2件については、今のところ計算で求める以外の方法を私は知りません。
(今年の西暦年数-1867年)、(今年の西暦年数-1945)
または、
(今年の西暦年数の下二けた+133)、(今年の西暦年数の下二けた+55)
*「今年の西暦年数の下二けた」は21世紀に入ってからの年数。133と55は、明治維新以降、終戦以降の、20世紀中の年数
誰かほかに上手い方法をご存知でしたら、ぜひ教えてください。
「あれ? 今年は昭和で数えると何年?」というアレです。
実は今年(令和3年)が昭和何年かという計算は、昭和生まれの私にとってはひじょうに簡単なものです。
(自分の誕生年)+(今年の誕生日に迎える年齢)
で出ます。
ちょっと虚を突かれた感じですが、今年が昭和何年かというのは、生まれた年までの昭和の年数(誕生年)に、生まれてから今年までの年数(年齢)を足してやればわかる――少し考えれば当たり前すぎるほど当たり前の話なのです。
もっとも私の場合は先にも書いた通り、昭和2年生まれの母が存命で今年94歳になりますから、(2+94)で昭和96年だとすぐに計算できます。二けた同士のたし算より一けたと二けたのたし算の方が簡単ですから、母の生きている限りはこれを使わせてもらうことにします。
このやり方、若い人には関係ないみたいですが、今年が昭和96年だと計算しておいて、亡くなったお祖父ちゃんが昭和10年生まれだと知っていれば引き算をして、
「ああ、お祖父ちゃん、生きていれば今年86歳なのね」
とか呟けば、
「まあ、死んだお祖父ちゃんの歳まで数えていてくれるなんて、なんていい子なんでしょ」
とかいうことになって小遣いが稼げるかもしれません。
平成生まれの人も、昭和生まれ同様に自分の生まれた年に年齢をたせば令和3年が平成33年だとたちどころに計算できます。ただし平成・令和については特殊事情があって、誰にとっても計算は簡単なのです。平成は31年まであって令和元年と重なっています。ですから令和に30をたすだけで今年が平成何年か計算できるのです。
令和3年は(30+3)で平成33年です。今後もそうです。
昭和生まれが社会の多数派でいる限り、「今年は昭和何年?」は話題に上がる可能性があります。しかし今年が大正何年かを気にする人はほとんどいないでしょう。大正生まれが極端に少ないからです。
では「今年は明治何年?」も話題にならないかというと、これもまた特殊事情で話題になるときはなります。「文明開化から何年?」という話ですから。
同様に「終戦(1945年)から何年?」も大事でしょう。時代が決定的に変わりました。
残念ながらこの2件については、今のところ計算で求める以外の方法を私は知りません。
(今年の西暦年数-1867年)、(今年の西暦年数-1945)
または、
(今年の西暦年数の下二けた+133)、(今年の西暦年数の下二けた+55)
*「今年の西暦年数の下二けた」は21世紀に入ってからの年数。133と55は、明治維新以降、終戦以降の、20世紀中の年数
誰かほかに上手い方法をご存知でしたら、ぜひ教えてください。