あいさつ運動をしない学校というのも考えられない
企業研修でも あいさつは「いの一番」に教えられること
しかしあいさつがなぜ大切なのか
子どもにわかりやすく伝えるのはあんがい難しい
私はこんなふうに話してみた
という話。
(「テナガザル」PhotoACより)
【困ったときの、紙、頼み】
今日のブログについて、あてにしていたことがあったのですが予定通りにならず、記事として載せることができませんでした。さらにこれと言った代案がありません。
学校のある日は必ず一文を書くということはもう15年も続けていることですし、毎朝必ずまとまった話をするということは35年以上も前から続けていることですから穴をあけるわけにはいきません。
しかし今日は本当に題材がなく、切羽詰まって・・・と、頭を悩ませながら自分のブログを眺めていたらサイドメニューの拍手ランキング、その第5位に「挨拶の効能」という昔の記事が出ていたのです(この部分はミラーブログに関する話)。たった2票ですが、拍手は最近入れてくださったものでしょう。
それで助かりました。
私には長いこと書き溜めた原稿がかなり残っていて、その中に「あいさつの効能」と同じ内容を子ども向けに話した時のものがあったのです。
困ったときの紙頼み。
その原稿用紙を引っ張り出してきて、今日のお話といたしましょう。ある年のゴールデンウィーク明けの朝の会での話です。
【あいさつをしよう】
『みなさんおはようございます。
ゴールデンウィークも終わっていよいよ本格的な1学期のスタートです。今月はもう祭日はありませんし、6月も「のび太のきらいな6月」というように祭日が1日もなく、一気に頑張らなければならないときです。だから、頑張りましょう。
さて、私は今、「おはようございます」といいましたが、これを英語で言うとどうなるか知っていますか?
グッド・モーニング、そうですね。皆さんは英語を習っていますから知っていますよね。
ではグッド・モーニング自体はどういう意味か?
「グッド」は「良い」ですね。それから「モーニング」は朝、つまり「良い朝」というのがその意味です。でも変ではありませんか? アメリカの人たちは毎朝、人に出会うと大声で「良い!朝!」なんて言っているのですよ。
これは英語ばかりではなくフランス語やドイツ語でも似たようなもので、ドイツ語のグーテンモルゲンも「良い朝!」、フランス語のボンジュール、イタリア語のボンジョルノは「良い日!」なのです。
話を英語に戻すと、午後の挨拶は「グッド・アフタヌーン」「良い午後!」、夜の挨拶は「グッドイブニング」「良い夕方!」「グッドナイト」は「良い夜!」でしょ?
何なんでしょうね?アメリカ人は。
そうは言っても、実は日本人だってかなり変なのです。
「おはよう」これは「朝早いですね」という意味ですね。朝からみんなで「朝早いですね!」。9時ごろ会って、全然朝早くなくても「おはよう」「朝早いですね!」なんて言っているのです。
お昼ごろからは「今日は」。これもすごいでしょう。
「こんにちは」というのはひらがなで書くと「こんにちは」と書きます。(黒板に書く)
「こんにちわ」と書くと間違いなのです。なぜ「わ」ではなく「は」と書くかというと、これがもともと「今日(きょう)は」と書いて「こんにちは」と読んだからです。「こんにちは」というのは「今日(きょう)は」という意味なのですね。
でも「今日(きょう)は」ですよ。すごいでしょ。
こっちでも「今日(きょう)は」、あっちでも「今日(きょう)は」・・・「今日は何なんだ」とツッコミたくなるような挨拶です。
夜だって「こんばんは」・・・「今晩はどうしたんだ!」 と叫びたくなっちゃうような言葉ですよね。
こんなふうに世界中の挨拶は、みんな言葉として変なのです。
やったことのある人にはわかりますよね。
この人は日記を書くときにまず「今日(きょう)は」と書いて、それから今日やったことを思い出そうとしたのだけれど、そのうち何かがあって日記のそばを離れなくてはいけなくなり、そのまま忘れて次の日に先生に出しちゃったのです。
ですから本人は「きょうは」と書いたつもりでも、読むほうでは「こんにちは」と読むこともできる。
こんなとき私は、わざとひらがなで「こんにちは」と返事を書いて済ませましたがね。
つまりそういうことなのです。「こんにちは」も「こんばんは」も「おはよう」も、みんな話し始めの言葉で、続きがあったのです。
「今日(こんにち)は、酷く暑い日だけど、どこへお出かけです?」「今日(こんにち)は、ずいぶん急いで見えるけどどうされました?」「今日(こんにち)は、私も具合が悪くて何となく外に出るのが嫌だったんですけどね」といった具合です。グッドモーニングも、グッドイブニングも皆同じです。
ここにあいさつの一番大切な性質があります。
それはあいさつというのはそれだけではなく、言ったあとで続けて何かを言うつもりがあるということ、実際に何も話さなくても、「ボクに話しかけてくれてもいいよ」「一緒に話をしよう」というサインだということです。
「おはよう、ボクと話をしよう」「こんにちは、一緒に話、しない?」、だからあいさつをしてもらうと気持ちがいいのです。だって「キミのこと好きだよ」とか「キミといると楽しいんだ」といわれているのと同じなのですから。
そうなると逆に、あいさつをしないということは「お前とは話したくない」という強いサインになります。
実験してみましょう。
〇〇さん、立ってください。(児童を一人立たせる)
私がこちらから歩いてきますから、先生(私)が歩き始めたら「おはようございます」と声をかけてください。
(児童に「おはよございます」とあいさつをしてもらうが、無視する)
ホラ、傍から見ていても嫌な感じでしょう。〇〇さん、どうでしたか?
(感想を言わせる)
そうですよね、本当に嫌な気分ですよね。
ごめんなさい。それではやり直しましょう。
(同じことをするが、今度は丁寧に返す)
ありがとう。席に戻っていいですよ。
あいさつをしないというのは「お前なんか嫌いだ」「お前となんか付き合いたくない」と言っているのと同じです。しかも会っていきなり「お前なんか嫌いだ」なんて、それは人間のすることではありません。そんな嫌な気分を振りまいてはいけないのです。
最後に、あいさつのすばらしい役割をもうひとつ紹介しておきます。それは仲直りにとても都合がいいということです。
ケンカをしちゃってうまく謝れないとき、素直になれないとき、そんなときってあるよね。そういうときは、学校を出る前に「さよなら」とあいさつしちゃうのです。その日できなかったら次の日の朝、必ず「おはよう」と言いましょう。それ以上遅いともうダメです。
そんなふうにあいさつをして相手も返してくれたら、それで問題は終わりです。謝るなんてことはしなくても、きっと仲直りできるはずです』
ゴールデンウィークも終わっていよいよ本格的な1学期のスタートです。今月はもう祭日はありませんし、6月も「のび太のきらいな6月」というように祭日が1日もなく、一気に頑張らなければならないときです。だから、頑張りましょう。
さて、私は今、「おはようございます」といいましたが、これを英語で言うとどうなるか知っていますか?
グッド・モーニング、そうですね。皆さんは英語を習っていますから知っていますよね。
ではグッド・モーニング自体はどういう意味か?
「グッド」は「良い」ですね。それから「モーニング」は朝、つまり「良い朝」というのがその意味です。でも変ではありませんか? アメリカの人たちは毎朝、人に出会うと大声で「良い!朝!」なんて言っているのですよ。
これは英語ばかりではなくフランス語やドイツ語でも似たようなもので、ドイツ語のグーテンモルゲンも「良い朝!」、フランス語のボンジュール、イタリア語のボンジョルノは「良い日!」なのです。
話を英語に戻すと、午後の挨拶は「グッド・アフタヌーン」「良い午後!」、夜の挨拶は「グッドイブニング」「良い夕方!」「グッドナイト」は「良い夜!」でしょ?
何なんでしょうね?アメリカ人は。
そうは言っても、実は日本人だってかなり変なのです。
「おはよう」これは「朝早いですね」という意味ですね。朝からみんなで「朝早いですね!」。9時ごろ会って、全然朝早くなくても「おはよう」「朝早いですね!」なんて言っているのです。
お昼ごろからは「今日は」。これもすごいでしょう。
「こんにちは」というのはひらがなで書くと「こんにちは」と書きます。(黒板に書く)
「こんにちわ」と書くと間違いなのです。なぜ「わ」ではなく「は」と書くかというと、これがもともと「今日(きょう)は」と書いて「こんにちは」と読んだからです。「こんにちは」というのは「今日(きょう)は」という意味なのですね。
でも「今日(きょう)は」ですよ。すごいでしょ。
こっちでも「今日(きょう)は」、あっちでも「今日(きょう)は」・・・「今日は何なんだ」とツッコミたくなるような挨拶です。
夜だって「こんばんは」・・・「今晩はどうしたんだ!」 と叫びたくなっちゃうような言葉ですよね。
こんなふうに世界中の挨拶は、みんな言葉として変なのです。
ところで私は、学校の先生になってから変なところでこの「こんにちは」を見るようになりました。分かりますか? それはキミたちの書く日記です。(右図)
その日記の最初に「こんにち(今日)は」って書いてあるのです。これ何だと思います?やったことのある人にはわかりますよね。
この人は日記を書くときにまず「今日(きょう)は」と書いて、それから今日やったことを思い出そうとしたのだけれど、そのうち何かがあって日記のそばを離れなくてはいけなくなり、そのまま忘れて次の日に先生に出しちゃったのです。
ですから本人は「きょうは」と書いたつもりでも、読むほうでは「こんにちは」と読むこともできる。
こんなとき私は、わざとひらがなで「こんにちは」と返事を書いて済ませましたがね。
つまりそういうことなのです。「こんにちは」も「こんばんは」も「おはよう」も、みんな話し始めの言葉で、続きがあったのです。
「今日(こんにち)は、酷く暑い日だけど、どこへお出かけです?」「今日(こんにち)は、ずいぶん急いで見えるけどどうされました?」「今日(こんにち)は、私も具合が悪くて何となく外に出るのが嫌だったんですけどね」といった具合です。グッドモーニングも、グッドイブニングも皆同じです。
ここにあいさつの一番大切な性質があります。
それはあいさつというのはそれだけではなく、言ったあとで続けて何かを言うつもりがあるということ、実際に何も話さなくても、「ボクに話しかけてくれてもいいよ」「一緒に話をしよう」というサインだということです。
「おはよう、ボクと話をしよう」「こんにちは、一緒に話、しない?」、だからあいさつをしてもらうと気持ちがいいのです。だって「キミのこと好きだよ」とか「キミといると楽しいんだ」といわれているのと同じなのですから。
そうなると逆に、あいさつをしないということは「お前とは話したくない」という強いサインになります。
実験してみましょう。
〇〇さん、立ってください。(児童を一人立たせる)
私がこちらから歩いてきますから、先生(私)が歩き始めたら「おはようございます」と声をかけてください。
(児童に「おはよございます」とあいさつをしてもらうが、無視する)
ホラ、傍から見ていても嫌な感じでしょう。〇〇さん、どうでしたか?
(感想を言わせる)
そうですよね、本当に嫌な気分ですよね。
ごめんなさい。それではやり直しましょう。
(同じことをするが、今度は丁寧に返す)
ありがとう。席に戻っていいですよ。
あいさつをしないというのは「お前なんか嫌いだ」「お前となんか付き合いたくない」と言っているのと同じです。しかも会っていきなり「お前なんか嫌いだ」なんて、それは人間のすることではありません。そんな嫌な気分を振りまいてはいけないのです。
最後に、あいさつのすばらしい役割をもうひとつ紹介しておきます。それは仲直りにとても都合がいいということです。
ケンカをしちゃってうまく謝れないとき、素直になれないとき、そんなときってあるよね。そういうときは、学校を出る前に「さよなら」とあいさつしちゃうのです。その日できなかったら次の日の朝、必ず「おはよう」と言いましょう。それ以上遅いともうダメです。
そんなふうにあいさつをして相手も返してくれたら、それで問題は終わりです。謝るなんてことはしなくても、きっと仲直りできるはずです』