予定を変更して・・・。
昨日、最高裁で注目すべき判決がありました。
「サッカーボール訴訟最高裁判決 親の賠償責任認めず
バイクを運転中に、小学校の校庭から蹴り出されたサッカーボールをよけようとして転倒後に死亡した男性の遺族が、ボールを蹴った当時小学生の元少年(23)の両親に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が9日、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)であった。
同小法廷は、「通常では危険性のない行為による予測不可能で偶発的事故について、親は賠償責任を負わない」との初判断を示した。その上で、「両親は被害を予測できなかった」と指摘し、両親に賠償を命じた2審大阪高裁判決を破棄、遺族側の逆転敗訴が確定した」
(産経新聞 4月10日)
被害者にはお気の毒ですが、あるべき判決かと思います。そうでなければ子ども(特に男の子)を持つのはあまりにも危険な賭けとなってしまいます。とにかく何をするか分からない。
以前にも書きましたが私の息子は今でこそおとなしい普通の子ですが、幼いころはとても危険でした。つかまり立ちの時期にできもしないテーブルクロス引きを試して淹れたてのコーヒーを肩からかぶったり押入れの二階から飛び降りて骨折をしたり・・・。買ったばかりの新車のワックスがけを5歳の長女に手伝わせていたら、反対側で砕石を握りしめて同じように磨いていたりと目が離せません。線路の間で石拾いをしていたこともあります。
目のすぐ下に色の変わった黒子がありますが、それは小学生のころ、鉛筆を加えた子に飛びつかれて刺さった後です。あと1センチ上だったら失明していたのかもしれません。
教え子についても、ケンカした勢いで校舎の3階から飛び降りようとしたり理科室にもぐりこんで勉強したばかりのアルコールランプの点火の復習をしたり。歩道橋の手すりで綱渡りの真似事をしたり、上から石を落して車に当たるかどうか試したりと、そういった部分だけを思い浮かべると気が遠くなりそうです。
ニュースを見れば自転車事故で1億円近い損害賠償を命じられた判例もあります。普通の親ではとうてい応えられる負担ではありません。
今回の判決はその意味で、すべての親、これから親になろうという人にありがたいものです。しかしだからといって被害者が泣き寝入りというのも困ります。いちいち裁判となれば時間も費用もかかり、精神的な負担も少なくありません。
かつて、教え子で小学校一年生の男の子が新築の家のアルミフェンスを石で引っ掻いて傷つけるという事件がありました。請求された損害額は17万円です。母子家庭でとても負担に耐えられるような家ではなく、担任としても困ったなと思っていたら母親から、“調べて見たら県民共済で補償してくれるそうです”との知らせがありました。17万円がゼロです。
都道府県民共済の子ども保険には1型で最高100万円、2型で200万円までの損害賠償保険がついています。これだとたいていの損害賠償には対応できます。
一般の火災保険や傷害保険なら、年額数千円の特約で1億円以上の損害賠償がつけられる場合も少なくありません。賠償額が数千万円にもなる自転車事故に対してなら、月額300円程度で1億円補償の保険もざらにあります。
余計なお節介かもしれませんがこうしたことも保護者の耳に入れておくといいかもしれません。特に危険な匂いのする子どもの保護者には、選択的に声をかけておくことも場合によっては必要です。