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「交通事故の加害者になってしまう日のためのスキル」~自転車の場合

 昨日の交通安全教室で、中学校では自転車事故の加害者になるケースについて映像を見ながら学んだようです。以前私が見たのと同じではないかと思うのですが、加害者の女子高校生が裁判で約5,000万円の支払いを命じられたという内容を含んでいました。

 この事故は無灯火の上、携帯電話を操作しながら運転をしていた女子高生が、歩行中の看護師に追突し、被害者はのちに手足に痺れが残って歩行困難になり、職も失ったというものです。

 自分の児童生徒あるいは子が、交通事故の被害者ではなく加害者になるかもしれないというのは盲点です。そこで改めて調べたら、自転車による交通事故というのは年間2万5千件もあるのだそうで、内容を見ると中高生が加害者となった例だけで、こんなものがありました。

  • 6008万円 通学中、歩行者に衝突。被害者には、脊髄損傷による麻痺の後遺障害が残った。
  • 3912万円 帰宅途中、街灯のない道で歩行者に衝突し死亡させた。
  • 2650万円 道路右側を走行中、対向進行してきた主婦の自転車と接触し、転倒させ、死亡させた。
  • 1169万円 帰宅途中、無灯火で歩行者に気付かず衝突、死亡させた。
  •  685万円 帰宅途中、植木の剪定をしていた作業者の脚立に接触、転倒させ、死亡させた。

  個人として容易に支払える金額ではありません。やはり自転車であっても保険に入っていることが必要です。1千万円までの補償ですと年額5000円ほど、一か月に直せばわずか400円程度です。本人のケガもカバーされますから、やはり必要でしょう。また、保険会社が絡むと専門家が入りますから、別の面でも有利なことがあります。それは賠償額の妥当性が客観的に計られるということです。

 以前お話ししたかもしれませんが、私の知り合いの先生の息子さんが、上の最後の事例とそっくりの事故を起こしたことがあります。植木職人の脚立を倒してしまったのです。幸い被害者は入院だけで済みましたが、その時請求された金額は休業補償も含めて約500万円でした。

 困ったその先生はたまたま以前勤務した学校のPTA役員に弁護士がいたことを思い出し、相談しところ請求された500万円はゼロにまで引き下げられます。次のような事情があったからです。

  1. 公道に脚立を立てて作業をする場合はその手前に作業中の表示をする必要があったが、それがなかった。
  2. 同時に“見張り”の要員を置かねばならないのにそれもなかった。
  3. 脚立には体重制限があったが、被害者はそれを越えていた(だからケガが大きくなった)。等々。

  被害者だって吹っ掛けたわけではなく、そうした法律上の知識がなかっただけです。
 いずれにしろ事故は必ず100対0で加害者が悪いというわけではありません。事故は起こさないのが一番ですが起こしてしまったら専門家の知恵を入れ、お互い納得できるところで解決を図るのが一番いいはずです。

 自転車運転センターのサイトでは事故の加害者となってしまった場合、

  1. すぐに救急車の手配をする。
  2. 警察に来てもらい調書を作成してもらう。 
  3. 相手を詳しく確認する。 
  4. 保険に入っている場合はすぐに保険会社に連絡する。 
  5. お見舞い・お詫びなどその時点で可能な誠意は尽くしておく」

とありました

 加害者になる可能性も考えて、学んでおかなければならないこともたくさんあるようです。