「国敗れて山河あり」3

  日本の教育に対する内外の評価の差には驚くべきものがあります。

 例えばサウジアラビアでは2010年に連続番組「カワーテル(思考)―改善」という番組が放送され、横断歩道を渡った後に車に向かって挨拶する小学生や子どもが行う学校の清掃が紹介されました。この番組はたいへんな反響を呼び、のちに一部の学校で坑内清掃が実施されたりしています。あの大金持ちで掃除はメイドの仕事と心得ているような国がです。

 韓国や中国の日本に対する感情は非常に難しいものがありますが、民度の高さという点では一致した評価が行われているのは確実です(ちなみに“民度”という言葉は、主として中国発のネットニュースで私は知りました)。その“民度”の源は日本の教育なのだという点でも一致しています。

 ヨーロッパの研究者たちも日本の教育の優位性を高く評価し、特に道徳教育の質の高さはふんだんに行われる特別活動(各種行事や児童生徒会活動、旅行学習や文芸活動など)によるところが多いと信じて疑いません。

 

 OECDPISA(生徒の学習到達度調査)はしばしば日本の教育の衰退を示す指標として用いられますが、その総帥であるアンドレアス・シュライヒャー教育局長は昨年7月、日本の教師について「非常に素晴らしい。PISA(生徒の学習到達度調査)で最も良い結果を出しているのに、もっと学びたい、もっと力をつけたいと考えている」と絶賛しているのです。

 必要だと考える職能開発(研修)を尋ねると「担当教科の指導法」56.9%(同9.7%)、「担当教科の知識と理解」51.0%(参加国平均8.7%)、「生徒の行動と学級経営」43.0%(同8.7%)、「進路指導やカウンセリング」42.9%(同12.4%)、「個に応じた学習指導」40.2%(同12.5%)など、多くの項目で参加国平均より飛び抜けて高くなっています。

そして、

 シュライヒャー局長は会見で、東日本大震災の被災地で創造的な学びが展開されていることを例に「21世紀の学び、21世紀型の教授法、学校間の協働で、日本は優位にある」と断言していました。(以上、引用は「THE PAGE」2014.07.14

 思うに、日本の教育の衰退は、政治問題なのです。それを取り上げることが票につながりますから問題がないと困るのです。

 学校に問題や不足がないとは言いません。しかし先日取り上げた食品の異物混入と同じで、問題や課題をゼロにすることはできないのです。それらは個々取り上げて対処すべき問題であって根本的な改革ないしは治療の俎上に乗せてはいけません。歯が痛い、爪がはがれたと言ってまず胸を開いて心臓や肺をいじるのと同じです。

 私は、ですからすべての教育改革に反対します。少なくとも、問題の原因が科学的に明らかにならない限り、触ってはいけません。

 日本の山河を守るために。