カイト・カフェ

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「マックどーなるの?」~悪しき不祥事対応の見本になったぞ

 マクドナルドの異物混入問題で日本中が沸騰しています。
 昨年7月、仕入れ先だった中国の食品加工会社が期限切れの鶏肉を使用していた問題が発覚、以来とまらなかった客離れに拍車がかかるのかもしれません。
 しかし考えてみると、日本マクドナルドは全国に3300店舗も展開しています。すると1店舗で10年に1度しか起きないような不祥事が年間330件、つまり一年間ほぼ毎日起きている計算になります。さらに100年に1度といったほとんど起らないような事故も、年間で33件も起きる計算なのです。

 そう考えるとこれまで異物混入ゼロだったはずはなく、今後もゼロにはなるはずはないということになります。もちろん「事故ゼロ」を目指すのは当然ですが、起ることが前提ならばむしろ起きた場合の対応が問題になります。
 その観点からすると、一昨日の記者会見は有名企業にあるまじき不手際だったと言わざるを得ません。

 特にマズイと思ったのは、人の歯の混入に関して記者から「被害者の口から混入した可能性はありませんか」と尋ねられて「可能性はあります」と答えた点です。ここでなぜ、「ありません」、もしくは「ないと思います」と答えなかったのか。そう答えて後から「被害者自身の歯だった」ということになっても、マクドナルドに何の損もなかったはずです。

 記者の質問は明らかな“ツリ”もしくは“ひっかけ”です。
 “歯”には油で揚げられた痕跡がないそうですから、調理後のすべての場面に混入の可能性があり、その意味では被害者もしくは被害者の家族・近隣の口から出たものである可能性もゼロではありません。しかし「可能性がある」と言えばそれは「イチャモンのかもしれない」という可能性を強く示唆したことになります。それで得することは何もありません。
 マクドナルドは本気でそうした可能性を考えていなかったと思いますが、本気で考えていたとしても、あのような会見の場で口にすべきではなかったのです。
 その他、会見全体を通して静かに漂っていた「マクドナルドは間違っていない」「責任を取る気はない」といった雰囲気は、会見前よりはるかに会社の印象を低下させるものでした。何のための記者会見だったのか。

 ところで翻って、
 日本の学校は義務教育だけで35000校もあります。マクドナルドの10倍以上の規模です。数を考えればそこで不祥事が起らないわけがありません。「仲間はずれもイジメである」というような言い方をすればイジメも絶対になくならない。
だとしたら命に関わるような重大な事故や事件をどう防ぐかと、それ以下の問題について、起きてしまったことにどう対処するかだけが重要なポイントになってきます。

 マスコミは意地の悪いきかん坊です。マクドナルドに限らず全国の食品チェーンを隈なく調査すれば、命に関わらないレベルの異物混入はいくらでもあるはずです。しかし今はマックです。
 同じように学校の問題も、今もいくらでも進行形ですが、たまたまマスコミの餌食になっていないだけなのです。

 起ったことはしかたないと言うつもりはありません。もちろんすべての問題はゼロを目指すべきです。しかし起きた時にどうするかは、同じくらい重要なテーマです。
 マクドナルドにならないために。