「魔の右カーブ」~桜塚やっくんの死と私の体験

 タレントの「桜塚やっくん」が交通事故で亡くなりました。「やっくん」が運転するワンボックスカーが中国自動車道の下り右カーブで単独事故を起こし、追越し車線をふさぐかたちで停止。車外に出て警察に通報しようとしていたマネージャーがトラックにはねられ、続いて後続車を止めようとした「やっくん」が乗用車にはねられて二人とも亡くなったものです。午後4時50分ごろと言いますから、あたりが薄暗くなろうとしている時間かと思います。

 実は10年ほど前、私もそっくりな事故に合いそうになったことがあります。場所は○○道の△△村付近。道が左右に大きく振れるところです。
 私は家族を乗せ、走行車線を100km/h近い速度で走っていました。ちょうど夕方の、これから暗くなっていこうとする時刻です。道路は比較的空いていました。

 長い右カーブにさしかかったとき、前方に恐ろしく遅い軽自動車を発見しました。本当にノロノロ走っているので私は追い越し車線に出てそのまま抜き去ろうとしたのです。ところが軽自動車に並走しかけた時、その車がヨロヨロといった感じで右にハンドルを切り、追い越し車線に出てきたのです。追突直前です。
 私は気持ちが前のめりになり、イラッとしてハンドルを切り走行車線に戻ろうとしました。その走行車線の100mほど前方に、白いワゴン車が横を向いて止まっていたのです。おまけにその手前には人が立っています。
 右は先ほどの軽自動車が併走中、正面は事故車と人間でブレーキは間に合わない――、左の路肩に比較的スペースがあったのでとっさに再びハンドルを左に切り、速度を落としながら事故車の横をすり抜けました。間一髪です。
 あとから考えれば、左の路肩にも人がいる可能性はあったわけで、事故に巻き込まれなかったのはほんとうに運が良かったとしか言いようがありません。

 今回の「桜塚やっくん」の事故のニュースを読みながら、改めて気づいたことがあります。それは同じ高速道路でも、左カーブと右カーブではまったく意味が異なるということです。
 左カーブの場合、追い越し車線を走るドライバーは道路の一番外側に位置することになります。見通しの悪いカーブでも比較的よく見える位置です。ところが右カーブで追い越し車線にいるとドライバーの位置は最も内側、カーブのあらゆる場所で一番先が見通せないところになります。その先で事故車が止まっていたとすると、回避は容易なことではありません。

 自動車連盟(JAF)によると、高速道路での事故対応は、一般に

  1. ハザードランプを点けて路肩にクルマを寄せる
  2. 燃料漏れがないことを確認のうえ発炎筒を炊き、三角停止表示板をクルマの50メートルほど後ろに置く
  3. ガードレールの外側に避難して、非常電話か携帯電話で通報する、

 のが手順だそうです。しかし今回のような場合は三角停止表示板を置きに行くことすら危険です。

 これに対する正答はないようですが、とにかくガードレールの外側にいる、中央分離帯ではその内側に退避する。三角停止表示板や発煙筒は持ち出せればよいのですが、そうでない場合は後方へ走って手を振るなり帽子を振るなりしながら後続の車に異変を知らせる、それしかないようです。

 右カーブでの事故は特に二次被害に注意しなければならないということ、またそうした危険がある以上、右カーブでは極力追い越し車線に入らないよう気を使うこと、そういったことが「桜塚やっくん」の事故から教訓として学ばなければならないことです。