カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「教師の地位」~日本の場合、教職は尊敬できる仕事だが、子どもには絶対に勧められないという国際調査の結果

 今月5日、教師の年収や社会的地位に関連する「教師地位指数(Teacher Status INDEX)」に基づく調査結果というものが発表されました。調査をしたのは英国の国際教育機関・バーキーGEMS財団というところです。
 米国や中国、日本、韓国など21カ国の異なる職業・年齢の1000人を対象にした、学生の学業完成能力と教師の地位・年収などとの相関関係を理解するための調査です。

 その結果、

  • 「教師地位指数」が最も高かったのは中国(100点)で、ギリシア(73.7点)、トルコ(68.0点)、韓国(62.0点)と続き、米国(36.7点)は9位、日本(16.2点)は16位、最下位21位はイスラエル(2.0点)。
  • 平均年収に関して最も高かったのがシンガポール(4万5755ドル)で、続いて米国(4万4917ドル)、韓国(4万3874ドル)、日本(4万3775ドル)の順。
  • 「学生は教師を尊敬しているか」の項目では、中国が75%と圧倒的な数値で1位だったのに対し、日本は19%で7位、韓国は11%で最下位。
  • 「自分の子供に教師になることを勧めるか」に関しては、中国は50%が「勧める」と回答しトップ。韓国は48%でこれに続いたが、日本はわずか15%しかなく、19位という結果だった。

  世界有数の先進国である日本の教師指数が21か国中16位。何かため息の出る数字です。それも全体4位の「平均収入」や7位の「学生は教師を尊敬しているか」が引き上げての16位ですから、これらの数値が低かったらどこまで下がったか分かりません。

 その平均年収にしても実際には大したものではありません。なぜなら日本はもともと国民全体の賃金も物価も高い国だからです。全体の平均年収を比べると、シンガポールは日本の4割、韓国は6割程度ですから、同じ4万数千ドルと言っても重みがまったく違うのです(この点はアメリカも同じ)。シンガポールや韓国の場合、実質的な年収は日本の2倍前後ということになります。

「自分の子供に教師になることを勧めるか」、15%で19位。これもため息が出ます。自分の子どもに勧められない仕事、他に何があるのでしょう?

 日本の場合、正規雇用の平均年収は460万円あまり、非正規雇用は160万円ほどです。300万円もの差がありますから非正規の仕事を勧めることはできません。
 子どもがイジメられるかと思えば、ブラック企業も耐えられないから勧めないでしょう。
 どんなに収入がよくても危険な職業、きつい職業も勧められません。反社会的な職業、品位に欠ける職業、胸を張ることがなくてもいいのですが背中を丸めなければならないような職業にも就かせたくありません。教員はそういう職業と一緒だというのです。

「学生は教師を尊敬しているか」が19%で7位ですから「立派な職業」だとは思われているのでしょう。しかしそれにも変わらず「子どもに勧められない」となると、その過酷さや待遇の悪さは、やはり一般にも理解されているのでしょう。

 何とかしなければならない問題です。