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「誉める」~子どもの誉め方・叱り方②

①大勢の前で一人を誉める

 大勢の前で一人を誉めると他の子たちも「あんなふうに誉められたい」と思って頑張るようになる――と考えるのは大間違いです。たいていの場合“その他の人々”は無関心です。ほかの子が誉められてうれしい子はいません。

 ましてやいつも誉められている子がまた全体の前で誉められるとなれば、周囲の子は嫉妬心をたぎらせ、本人はクラスの中で浮いてしまいかねません。ですからこれは案外いい方法ではないのです。誉めるにしても軽い扱いにしておかなければなりません。

 ただしこのやり方、一点で絶大な効果があります。それは、
「めったに誉められることのない子を有頂天にさせる」
ということです

 めったに誉められることのない子は、誉められることによって生まれるリスクに知識も経験もありませんからすぐに有頂天になる。それでいいのです。

 また集団の形成期でどういう行為が誉められるかを全体に知らしめたいとか、“その他の人々”の嫉妬心に火をつけてそれで何かを果たしたいといった特別の場合もこの方法は、用いられます。しかしあまり一般的とは言えませんし、簡単に手を出さない方がいい方法です。

呼んで個人的に誉める

 研究室や職員室にわざわざ呼んで誉めるというのはあまりないことです。ベテランの教員ならもっと効果的な方法を知っているからです。それはこちらから出向いて行って誉めるということです。わざわざ会いに来るほど嬉しかったと表すためです。

 演技ではありません。なぜなら生徒に良いことがあれば本当にうれしいのですから。それをちょっと上手に表現するだけのことです。

③陰で誉める

 教員は全員の児童生徒と良好な関係を結んでいるわけではありません。時にはどうしてもうまく行かない関係、ウマが合わないとしか言いようのない関係、何らかの事情で崩れてしまった関係、そういったものもあります。そうなると何をやってもダメ。素直に誉めていてもゴマすりとしか思ってもらえず、下手に扱えば反抗のネタにさえされかねません。
 仕方がないのでこういう時は生徒に代弁してもらうようにします。「囁き千里」と言って秘密や陰口はすぐに漏れるものです。 “良い話”はそれに比べるとなかなか伝わりにくいものですが、それでも伝わります。機会を捉えて“その子”の友だちや同級生に「あいつはいいやつで、こんなことをしたよ」とか「あんなことをして立派な奴だ」とか言っておけばいいのです(ただしその内容は具体的でなければなりません)。

 その言葉はいつか伝わります。しかも多くの場合、非常に重要な場面で出てきます。
(だけどなあ、あの担任、こんなこと言ってお前のこと誉めていたぞ)
 しかも本人の前で言ったことではありませんからそれだけ真実味も増します。 人間には真実は陰で語られるという思い込みがあります。
 これも演技や策略ではありません。本当は直接伝えたいのに、そのチャンネルが破損しているので他のチャンネルを使うだけのことです。

 紙面がなくなりました。【叱る】は来週に回します。