カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「誉めると叱る」~子どもの誉め方・叱り方①

【誉める】

「性格を誉めるな、行為を誉めよ」という言い方があります。
「優しいね」とか「親切だね」と言ってはいけない、内容が曖昧で、次の行動ができない。真面目に対応しようとすれば24時間1年中、優しかったり親切だったりしなくてはなりません。それは辛い。
 ところが「宿題を見てあげたんだってね、偉いね」とか「代わって上げたの? いいぞ」とか誉められた場合は次に何をすればいいかはっきりしている、同じことをすればいいだけだ。これだと誉められることが役に立つ、というのです。たしかにその通りと思います。

 もうひとつ。
「子どもは誉めて育てろ」という言い方があります。私たちも保護者にそう言ったりします。
 しかしそう言うと必ず、保護者の中にこう言う人が現れます。
「誉めるところが見つからないのです。一生懸命見ているのですが、あの子、誉めるようなことをしてくれない」
 たしかにそうです。見ていてもだめなのです。誉めることはこちらがつくってやらなければならないのです。
 これについて非常に示唆に富んだ言葉を残してくれたのは山本五十六です。

「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ」

 やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて――そこまで子どもを仕上げておいて、その上で誉めるのです。
「ここまでやれば馬鹿だってできるはずだ」。そう思っても口にしてはいけません。子どもにはそれでも大変なのです。できれば誇りです。それを誉められれば、子どもは幸せなのです。

【叱る】

 ときどき「先生はクラスの中でボクのことばかりを叱る」という子どもが出てきます。親が聞くと「なぜウチの子ばかりが、そんな冷たい仕打ちを受けるのか」となりますが、ウチの子ばかりが冷たい仕打ちを受けているわけではありません。たいていの場合、ウチの子ばかりが悪いことをしているのです。そのことに気づかないケースが案外あります。

「三つ誉めて一つ叱れ」という言葉があるように、私たちも叱りたくなどないのです。しかし本当はほめて育ててやりたいような子が一つ誉めた次の瞬間に三つくらい悪いことをする。そうなるとあっという間に「一つ誉めて三つ叱る」状態になってしまう。「頼むよ、誉めるネタをよこせとは言わんが、叱るネタを少しは減らしてくれ」と心から拝みたくなったりします。

 さて誉めるにしても叱るにしても様々な状況と場合があって、その場その場で異なった判断をしなければなりません。それは当然です。しかしある程度定式化している部分もあります。
 それについては明日お話しします。