カイト・カフェ

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「実は資源大国の日本」~都市鉱山と地下鉱山の話

 昨日は早起きをしすぎて一日中睡魔との闘いに苦しんでいました。しかしとにかく“なでしこJapan”、決勝戦進出ですからメデタシ、メデタシ。そこで今日は金と銀のお話をします。

 有史以来人類が掘り出した金の総量は、オリンピックの50m公認プール3杯分ほどだといわれています(14万〜15万トン)。あまりの少なさに唖然とさせられます。

 今後掘り出し得る金の地下埋蔵量は6〜7万トン(オリンピックプールもう一杯分)。国別でいうと南アフリカ・オーストラリアに6000トンほど、ぺルー・アメリカ・ロシアが3500〜4000トン、インドネシア・中国・カナダにそれぞれ2000トン弱しかありません。今のペースだとあと20年〜25年で掘りつくしてしまいます。しかし地上の都市鉱山には、それに匹敵する金が埋もれているのです。

 都市鉱山というのは、都市でゴミとして大量に廃棄される家電製品などの中に含まれる有用資源を鉱山に見立てたものです。1980年代に日本の学者によって提唱されました。
 その後の調査によって、金については世界中でおよそ43000トンが都市鉱山に埋もれていることがわかっています。そしてそのうちの、実に16%が日本にあるのです。日本都市金山の埋蔵量およそ6800トンは、南アフリカやカナダの埋蔵量を上回ります。
 同様に銀は60000トン。これは世界の(都市鉱山)埋蔵量の22%、インジウムは61%、錫は11%、タンタルは10%と、日本の都市鉱山には全世界の都市鉱山埋蔵量の一割を超える金属が存在しているのです。

 金属や希土は石油と異なり、使用済みをリサイクルすることができます。しかも都市鉱山資源の場合、地下鉱山資源より効率よく金を取り出せる場合も少なくありません。例えば1トンの金鉱石から取り出せる金は平均5グラム程度ですが、携帯電話1トンから取り出せる金は150gにもなります。そうしてリサイクルされる金は、現在の流通量の15〜20%を占めているといわれています。今後さらに電気製品のリサイクルが進めば、採掘される金より遥かに経費がかからなくなることも予想されます。

 日本の資源というと都市鉱山ではなくほんとうの地下鉱山も注目されつつあります。その代表がメタンハイドレートです。これは海底の地層に埋もれている固体結晶で、メタンを氷が包んだような形になったもので、“燃える氷”と呼ばれるものです。これが日本領海に豊富にあり、その量は現在日本国内で使用する天然ガスの90年分にも当たるというのです。
 現在は採算ベースに乗ってきませんが、世界経済の動向によっては開発の手が伸びるようになります。他にも南鳥島付近の海底にはレアアースマンガン・コバルト・ニッケル・プラチナ・ネオジムなどといった鉱産物が手付かずで埋蔵されていると言われています。
 しかし日本が誇るべきはそうした資源の豊富さではなく、少ない資源でも有効に利用できるその効率の良さかもしれません。

 エネルギー効率の良さで言えば、日本が1万ドル相当の製品を生産する際に必要な石油量はわずか0.1トン。アメリカは0.21トン、中国は0.9トン、資源がたくさんあることも、少ない資源で事足りることも、結局は同じことです。