カイト・カフェ

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「新年度の始まり」~学校が変わる、学年が変わる、担任が代わるということはどういいうことなのか

 初めて教員になったとき、いきなりの担任で右も左も分からないうちに様々ことを決めなければならなくて、本当に閉口しました。先輩からは「自分がどういう教育を受けてきたか思い出せばいい」とか言われましたが、私の通った中学校はかなり特殊な学校でしたし、何よりも教員になるのが遅かったために細かいことなどまったく思い出せないのです。おまけに子どもたちは「教室の移動は自分たちで勝手に行っていいのですか?」とか、「給食のときナプキンは敷くのですか?」とか、「掃除はどういう順でやればいいのですか」とか、当時の私からすればどうでもいいことを次々と聞いてきます。

 そして(給食なんて小学校でもやってきたろ、そんなことは自分で考えろ)と、そんな態度でいたらクラスはあっという間に荒れ果ててしまいました。あとから分かったのですが、子どもたちが聞きたかったのは掃除や給食の具体的な方法ではなく、「中学のルールはどうなのか」ということだったのです。それに対する私の答えが「自分で考えろ」ですから、相手にすれば「中学では『やりたいようにやる』がルールらしい」ということになり、その結果すべての活動がメチャクチャになってしまったわけです。

 学校が変わる、学年が変わる、担任が代わるということはそういうことなので、年が改まって何がどう変わるのかということは(早急にしろ、おいおいにしろ)明確に伝えていかなければなりません。そうしないと子どもたちは、新しい枠の中でどう生きていったらよいのか分からなくなります。

 私は自分が中学生になったとき、高校生になったとき、そして大学に進んだとき、それぞれの時をどういう気持ちで進学したかをよく覚えています。「これをチャンスに自分を変えよう」と大真面目に思いつめていたからです。

 新年度になり生まれ変わった気分で新たな自分を始めようと思う子はたくさんいます。このチャンスを逃さず、子どもたちの願いを救い上げ、教師としての私たちの願いと対照させ、新しい年度を始めたいと思います。

 教師の願いというのは、そのものが学級での子どもの生きる枠組みとなります。