たとえば他人の靴をそれとなくなおしてやるような、縁の下の力持ちみたいなことを指導する時には、こんな言葉を付け加えておきます。
「それから大事なことだけどね、いいことをしたらね、人に言ってはいけないんだよ」
どんなに良い行いも他人に吹聴したら価値が下がる、というのは大人の倫理で子どもには分かりにくいものです。しかしそれがないと私たちはいつまでも誉め続けなくてはならないし、誉められなければやらない子も生み出してしまいます。また、靴揃えのように「いつまでもやらなければならないこと」は忘れたりマンネリ化したりもします。その意味でも、誉められなくても陰でがんばれる子の確保は絶対に必要です。
「いいことをしたらね、人に言ってはいけないよ」で足りなければ「神様が絶対見ていてくれるから」と重ねてもけっこうです。
そんなふうに言われて本気で取り組むような子は確実に幸せになりますから、幸せが実感できるようなできごとがあったら「ホラね、神様は見ていてくれたでしょ」と言えばいいだけのことですから。