明日から「歯の衛生週間」が始まります。
私は親世代が戦前の人間で、歯ブラシなどしなくても虫歯にならなかった人たちなので必然的に歯ブラシの習慣がなく、そのためにいたずらに虫歯を増やした年齢層です。したがって歯についてよい思い出がありません。
歯はさらに、極めて不公平な遺伝的形質を持ち、私のように歯質の弱いタイプはいくら磨いても問題が絶えず、そうかと思うと歯ブラシなどまったくしないのに虫歯一本ないという人だっています。私の友人の一人もそうでした。
しかしこの歳までくるとそうした歯質の強い人たちにも影響が現れます。そんな友人の一人は、現在は一本の歯も残っていません。すべて歯槽膿漏で失ってしまったのです。虫歯のないまったくきれいなままの歯が、ぽろりぽろりと抜けて行ったそうです。
どんな場合も歯ブラシは必要ですね(日本人が失う歯の半分は、そんなふうに歯槽膿漏によって抜けたものだという話を聞いたことがあります)。
歯の指導については、先輩の先生からこんな話を聞いたことがあります。
【昼食後の歯磨き指導について】
- 給食準備の段階で、机の上に歯磨き用のコップを出させておく。
- 配膳の時間に、給食当番の一人がやかんを持って水を配る。
- 給食を食べ終わった者からその場で歯磨きを始める。
- 磨き終わったら口に水を含んでグチュクチュチュうがいをする。
- その水はそのままゴックンと飲む(!)。
- 「自分の口の中のものだから汚くネーダロ!」と言っておく。
- 歯ブラシをコップの中でゆすぐ。
のだそうです。
【虫歯治療について】
①以下の2点を押さえておく。
- 「虫歯は風邪とは違う。風邪なら医者に行かなかったけど大人しくしていたら治ったということもあるが、虫歯だけは歯医者に行かないと絶対に治らない」
- 「学校で初めて虫歯だと言われた歯は、その週のうちに歯医者に行けばほぼ確実に一回の治療で治る。多くても2回で済む。時間、手間、費用どれを考えても絶対に得だ」
②親と相談させ、本人の名前と歯科医に行く日を黒板に書かせる。治療が終わったら担任に報告させ黒板の記述を消させる。2回目が必要なら日付を書き直させる。
以上2点で、必ずうまくいくとのことでした。
「黒板に名前を書かせるのは、人権的に問題はありませんか?」と聞いたところ、「罰として名前をさらしているわけではない。担任と本人の覚書だ。正確に言えば担任が忘れないためのメモだ」とのことでした。
私はちょっと勇気がありませんので、用箋バサミに紙を1枚挟んでそこに記入させ、担任の机の上に置いておきます。
私自身が歯でとても苦しんだので、虫歯予防・治療の指導には力が入り、この点ではなかなかうまくいっています。教師として、いい腕をしているということです、この点では。