「右か? 左か?」~いつまでたってもよくわからない”左右どっちが高位?”

 昨日「左遷の日」だと言って、「アレ? なんで左なんだ」と右や左のことを考えているうちに良く分からなくなったのでもう一度整理します。

「左遷」は文字通り「左に遷(うつ)す」つまり右から左に移動することをいいます。古来、右手は高貴な手、左は不浄の手とされ、インドなど手で食事を取る国では絶対に左手で食物をもつことはありません。金を受け取るときは逆に右手を用いることはないと聞いています。したがって、右が高位、左が下位でいいようなものですが、記憶によれば右大臣より左大臣の方が偉かったような気がする・・・それで分からなくなったのです。

 調べた結果は以下の通り。
「右に出るものがいない」という言葉があるように、右が高位なのは原則、それは間違いないようです。「右に同じ」というのも、右にいる高位の人を慮り、敢えて反対しない様子を表します。と、ここまでは非常に筋が通っています。それにもかかわらず、左大臣・右大臣では左大臣の方が高位なのです。
 これは実は、左右大臣が天皇と対面していることを前提として考えないと分からないのです。つまり対面している天皇から見て、左側にいるのが高位(左大臣)、右側にいるのが低位(右大臣)ということになって、そこで帳尻が合うのです。

 しかし話はそこで終わりません。
 左大臣は向かって左、右大臣は向かって右、そう覚えて3月3日に内裏雛を見ると、なんとそこには向かって左に座る右大臣、右に座る左大臣、という不思議な光景が見られるのです(右の大臣の方が高齢に見えますから間違いありません)。これはどうしたことか。

 想像力を膨らませましょう。
 今から1000年くらい前の3月3日桃の節句の日、宮中にはたくさんの人がお祝いに駆けつけています。大内裏の正面、向かって左に天皇、向かって右に皇后が座ります。天皇・皇后側に立つと右に天皇、左に皇后ですからこれは正しい座り方です(ちなみに、結婚式の新郎新婦もこの形になります)。
 その天皇皇后に向かって(対面して)、第一列に三人官女が座り、第2列に五人囃子が座ってそれぞれ深々とお辞儀をします。三列目には左に右大臣、右に左大臣という通常の並びで左右大臣が座り、天皇に向かって深々と頭を下げています。
 そのとき庭に写真屋さんが現れてこういうのです。
「さあみなさん、記念写真を取りま〜す。天皇皇后お二方以外は、全員こちらを向いてくださ〜い」
 そして全員が180°振り向いてカメラに向かいます。
 ね、そうすると雛壇飾りとまったく同じ光景がそこに現れます。
 たぶんそういうことです。