カイト・カフェ

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「教育:芸術と科学の狭間」~盗める部分は盗むしかない

 前にお話したことがあるかもしれませんが、すべての学問は芸術と科学の二つに分類されると言われています。芸術の真髄は「誰にも真似ができない」で、科学のそれは「誰がやっても結果は同じ」です(水素と酸素を2:1で混ぜ合わせて爆発させたとき、そのたびに違うものが生まれるようでは困ります)。つまり二つは正反対の性格を持っているのです。そして困ったことに教育学はその双方に足を踏み入れているのです。

 教育学を芸術のように心得ている人たちは「誰にも真似できない授業」を目指します。したがって必然的にカリスマを生み出します。
 彼らはしばしば指導案を書くのが非常に下手ですが、そうであるにもかわらず、偉大な授業を果たします(たいした準備をしなくても偉大な授業ができてしまうから指導案が下手、ということなのかもしれません)。

 他方、教育学を科学にしようという人たちは、誰がやっても水準以上の結果が得られる授業を目指します。TOSSの(かつて法則化運動と呼ばれた)人々がその代表で、かなりの成果を挙げているのも事実です。

 しかし両方とも、教育全部を覆いつくすことはできないでいます。言うまでもなくカリスマは少数ですし、法則化はまだ全体の一部を塗りつぶしたに過ぎないからです。残されたほとんどの部分は、教師が職人のように年季を尽くして、身に着けていく領域です。

 さて、昨日の二つの授業の中に、私は多くの芸術と技と職人芸を見ました。芸術の領域は真似できませんが、技と職人芸は盗めます。盗めるところは、どんどん盗んでしまいましょう。本当に楽しい授業でした。

*最近覚えた言葉 PPM(=“パクッて、パクッて、真似をする!”)