カイト・カフェ

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「地獄の思想」~人は、地獄や因果応報の思想なしに、正しく生きられるのか?

 仏教の世界では、人は死ぬとその所業に応じて六つの世界(地獄道、餓鬼道、畜生道阿修羅道、人間道、天上道)のいずれかに生まれ変わると言われています。これを六道輪廻(りくどうりんね)と言います。

 例えば畜生道に生まれ変わるというのは四つ足の動物に生まれ変わることであって、したがって仏教徒は四つ足の動物を食べません。食べたものが自分の祖先・縁者である危険性があるからです。

 仏教経典の「具舎論(くしゃろん)」という本に詳しく書いてあるらしいのですが、どの世界もかなり厄介な場所らしく、たとえ天上道に生まれ変わっても、そこでの平和や幸福は一時的なものでしかなく、また因果応報によって別の世界に生まれ変わります。その永遠の繰り返しから逃れることを解脱(げだつ)とか涅槃(ねはん)と言い、仏にしかなしえないこととされています。そのために仏教徒は修行をしているのです。

 地獄は贍部洲(せんぶしゅう)という名の台形の島の地下に、8層になって存在するとされています。そのそれぞれに阿鼻地獄、叫喚地獄、無間地獄といった名があり、各階の四つの壁のそれぞれ向こうには4部屋があって、つごう各階17室。全階で136室あるそうです。
 それぞれに多彩な拷問具がそろっていて、亡者をいたぶります。また、それ以外に八寒地獄があり、孤独地獄というひとりぼっちの地獄もあるそうです。

 今やこうした地獄の様相について、話す人も信じる人もいなくなりました。しかし人間は、こうした地獄の思想や因果応報の思想なしに、正しく貧しく生き続けることができるのでしょうか?
 私は近頃、少々疑問に思うようになっています。