カイト・カフェ

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「道徳というお仕事」~教師が三分の一の力を注がなくてはならない分野

 根っからの歴史学徒で歴史を教えるのが大好きでした。別な言い方をすれば生徒指導なんて大嫌いですし道徳を教えるなんてまっぴら、それどころか地理や公民すら面倒でした。とんでもない心得違いです。

 よく、知育・徳育・体育といいますが、これらは「教科を学ぶこと」「人間関係を学ぶこと」「保健衛生を学ぶこと」の三つに置き換えることができます。したがって私たちはこの三つに、平等にエネルギーを注がなければ仕事をしたことになりません。

 運動会が行われ、体重測定や各種検診が行われるのはすべて「体育」の一部、つまり子ども自身が自分の健康を守る術や意欲を学ぶためです。私たちが子どもの健康を守るためにやっているのではありません。

 修学旅行やキャンプといった宿泊的行事や児童会は「徳育」に属し、そうした活動を通じて人間関係を学ぶようにつくられています。音楽会や観劇教室といったものも、子どもの情操にかかわる問題として「徳育」の範疇に属するものだと、私は信じています。

 体育科や音楽科の先生たちは全校に号令する機会に恵まれているのに社会科の教員にはそういうチャンスがない、それはいかにも不公平ですが、運動会や音楽会は「知育」としてやっているのではなく「徳育」としてやっていると考えれば我慢をすることもできます。
 そして「徳育」だからこそ、すべての教員が本気で取り組まなければならないことなのです。

 昨日は◯◯神社(地域内の大社)の大祭でした。踊りやお神楽の担い手として参加した子どもたちは、地域の一員としての仕事をしたわけですからよい経験をしました。
 今朝は役員の人たちが朝5時から街に出て後片付けです。こうした活動に子どもが参加すれば、地域の一員として当然なすべきことを自然に学んだはずです。

 昔はこうした道徳的な学びのチャンスが山ほどありました。しかし現在は学校で教えないと学ぶ機会が極端に少ないのです。35時間の道徳の時間、ぜひ忘れずに,丁寧にやりたいものです。