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「大寒」~二十四節気の話

 今日は大寒です。大寒(だいかん)は二十四節気の1つで1月20日ごろ、および、この日から立春までの期間のことをいいます。
「太陽黄経が300度のときで、寒さが最も厳しくなるころ」と辞書にはありますが、何のことかよく分かりません。『暦便覧』では、「冷ゆることの至りて甚だしきときなれば也」と説明しているそうで、寒の真ん中、一年で最も寒い時期とされています。
 ただし実際に一番寒いのは2月に入ってからのことで、なんとなく10日以上早いような感じです。私はこれを太陰暦から太陽暦への変換の際に生まれたズレだと思っていました。

 太陰暦の時に使っていた、例えば「元日」は今年の場合1月29日、来年だと2月18日にあたります。2月上旬前後はこの辺りではもっとも寒い時期にあたりますが、国内の早い地域では梅もほころび、ウグイスの声も聞かれ始めます。したがって年賀状に「梅にウグイス」は似合うのです。
 同様に七夕は現在の8月上旬前後、お盆は9月下旬前後になるはずです。そう考えて初めて、七夕に星を見たり、お盆に菊を飾ったりする意味がわかります。
 それを単純に太陽暦の月日に合わせたばかりに、梅雨の真っ最中の、およそ星を見るのに都合の悪い時期に星を見たり、菊などない時期に菊を用意したりといった不都合が生まれました。そして不都合があったばかりに、電照菊という実にユニークな発明が生まれたりもしました。二十四節気は、しかしそうした太陰暦のズレとは別物らしいのです。

 純粋な太陰暦は月の運行に連動してますから、毎年大幅に季節がズレます。どうでもいいようなことですが、しかしこれでは農耕に不便です。いつごろ種を蒔き、いつごろ手入れをしといったことのためには、暦上に何らかの目安がなくてはなりません。そこで太陰暦太陽暦を加味した「太陰太陽暦」というものがつくられ、それが長く使われてきたのです。

 二十四節気は「太陰太陽暦」の中核にあるもので、したがって現在使われている太陽暦とはむしろ相性がいいのです。
 そうなると最初の疑問はそのままで、「実際に一番寒い日が大寒でなく、『実は一番寒い日』が立春前後というのはどういうわけなのか」というのが残ります。

 答えは以下の通りです。
立春は一年のうちで最も寒いときに当たる。最も寒いということは、その翌日からは少しずつ寒さが緩んでくる、つまり春の気配が忍び入ってくるということである。だから最も寒い時が立春であり、ここから春が始まるのである」
 裏面に二十四節気の詳しい説明を載せておきました()。上の答えはそこから引いたものです。

二十四節気一覧
月は節月、括弧内は太陽黄経と大体の日付である。日付は年によって変動する。


一月 : 立春(315度、2月4日)- 雨水(330度、2月19日)
二月 : 啓蟄(345度、3月6日)- 春分(0度、3月21日)
三月 : 清明(15度、4月5日)- 穀雨(30度、4月20日


四月 : 立夏(45度、5月5日)- 小満(60度、5月21日)
五月 : 芒種(75度、6月6日)- 夏至(90度、6月21日)
六月 : 小暑(105度、7月7日)- 大暑(120度、7月23日)


七月 : 立秋(135度、8月7日)- 処暑(150度、8月23日)
八月 : 白露(165度、9月8日)- 秋分(180度、9月23日)
九月 : 寒露(195度、10月8日)- 霜降(210度、10月23日)


十月 : 立冬(225度、11月7日)- 小雪(240度、11月22日)
十一月 : 大雪(255度、12月7日)- 冬至(270度、12月22日)
十二月 : 小寒(285度、1月5日)- 大寒(300度、1月20日
 この各月の左側に書いてある方が「節(せつ)」、右側が「気(き)」であり、中気を含まない月を閏月とする。

 詳しくは閏月を参照のこと。