カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「歯みがき週間:むし歯をなくそう」~子どもたちに私の轍は踏ませない

 私は両親ともに戦前派で、歯磨きなんかしなくてもまったく虫歯にならない世代(甘いものがまったくない)でしたので家庭にも歯みがき習慣がなく、おかげで私たちの世代には歯がボロボロの人が大勢います。そしてそれゆえに、自分の子たちの歯磨き指導には異常に熱心な人が少なくありません。

 さて、歯がボロボロだとどういう不便があるのでしょう? おそらく山崎ひろこ先生からも指導があると思いますが、私が生徒に話したのは次のようなことです。

  1. 固いものがダメなので、食べられるものが極端に制限される。
  2. しっかりかめないと食べ物が不味い。
  3. いい加減に噛んで飲み下すので胃を悪くすることがある。
  4. 奥歯をかみ締められないので力が入らない(プロ野球選手が打撃の瞬間に奥歯にかかる圧力は80kg)。
  5. 口が臭くなる(「初めて〜のチュウ♪」が「オエッ!」 じゃ、や〜でしょ?)
  6. 顔がゆがむ。

・・・・・・特に5と6は女子児童にインパクトがあるようで、うまく行くと歯みがき時間が2分は延びます。

 歯科検診で治療勧告書が出された場合はこんな話をしました。
「虫歯は風邪や頭痛と違って我慢していれば自然に治るというものじゃない。放っておいたら虫歯が治ったなんて聞いたことないでしょ? 歯医者さんから初めて虫歯ですと言われた歯なら、1〜2回の通院で治ってしまうことが多い。治療費だって2000円程度で済んでしまう。それが半年も経ってから行くと、何回も通わされた上に1万・2万ととんでもない金額になってしまう。先生なんか何十万円使ったか分からない(これは本当です)」

 そして治療の必要な児童名を黒板に列挙し、家で相談して歯医者に行く日を書かせました。その日に行けば、次の予約日を書かせ、治療が終わったら花丸をつけて翌日には消します。忘れ物一覧表などは継続的に子どもを傷つけるからダメということになっていますが、これは備忘録みたいなものだからかまわないのです(と私は思っています)。しかしそれでも不安なら教卓に紙を張ってそこに書かせてもかまいません。要は担任が忘れずに一声かけられるような仕組みを作っておくということです。

 一般に、虫歯治療が進まないのは本人より親の問題です。学校全体としてみると、兄弟丸ごと行ってないという家庭が結構あります(というか、それが普通です)。中には経済的な問題から行けない子どももいますから、そういう家庭に対しては担任が直接声をかけてやることが必要でしょう。とにかく子どもの歯は衣食を後回しにしても守ってやらないと将来恨まれます。

 ついでに言うと、歯列が乱れているとどんなに歯みがきに時間をかけてもうまく行かない例があります(親の仕上げ磨きでもうまくいかない歯があります)。歯列矯正については歯科医によって考え方が全く違いますので医者を代えて考えなければなりません。私の場合、自分の子がかなり小さな時から繰り返し相談していたのですがいつも「永久歯が生え揃ってから」と拒否されていました。機会があって別の医者にかかったら「永久歯が4本の時に始めれば17万円、半分生え揃った頃なら30万、全部生え代えた今なら50万円」ということで、めでたく最高額支払い者になってしまいました。しかも3年もかかるそうです。こういうことも知っていると便利でしょう。