カイト・カフェ

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「キーがいちいち引っかかって動きの鈍いキーボードの直し方」~シリコンスプレーはすごい

 純正なのにかなりいい加減なコンピュータのキーボード。
 キーが繰り返し引っかかってたいへんなストレスだった。
 しかしここに救世主あらわる。
 私は家じゅうにシリコンスプレーをかけまくった。
という話。(写真:SuperT)

【キーボードが若ハゲ】

 購入したデスクトップ・コンピュータのキーボードがまったくダメで、キーボードのみ新しいものに買い替えた――そんな話を何回か聞いたことがあります。しかし私に関して言えば、これまで30年以上コンピュータに触れて来て、キーボードが「まったくダメ」という状況に会ったことがありません。

 比較的単純な装置ですので、もう開発され尽くしている、改良の余地はない、だから不良品はそれこそ何百万台に一台という割合でしか出ず、たまたまそれに引っかかった人が騒いでいるからたくさんあるように見えるだけ――と、そんなふうに考えていました。
 あるいは私が頑固な民族主義者で国産品しか購入しないうえ、私が触って来た学校の備品もことごとく国産品でしたから、だから故障しない、日本製は不良品が出ない、そういうことなのかもしれない、とも思っていたのです。
 
 ところが3年前に買った富士通のコンピュータの附属キーボードがいたく調子が悪い。とりあえず塗装が剥げてきて(上の写真)、「A」「N」「K」「O」の中央部分が透明になってきたのです。なぜこの4文字なのか?
 何か異空間からのメッセージかも知れないと思って並べ替えてみましたが「オカン」「アンコ」「コナ」くらいしか思いつきません(「お母さん、餡子があるよ、おいで」)。「T」も変なのでこれも加えて「カント」「コタン」「タンコ」などもありかな? と考えたのですが、何か方向が違うような気もします(カントは淡々と重荷を下ろした)。
 もっとも文字が完全に消えたわけではないので、気にするなと言われれば気にしないでいられる程度の大したことのない問題で、それより困ったのは一部のキーが押されたあとで戻ってこなくなるという現象が始まったことです。

【ストレス・ボード】

 特に引っかかるのが「I」と「N」。いちど引っかかると画面が「んんんんんんんんん・・・」か「いいいいいいいいいいいいい・・・」ですから消すのがたいへんなのです。さらに困ったのは「バックスペース」の引っかかりで、早く対処しないとせっかく書いた文字がどんどん消えていきます。
 キーは戻らないだけでなく、きちんと打たない場合もあって、そこそこ長文を打ってから変換すると、あちこちで誤変換が起こったりします。それがどんどん凄まじいストレスになってきました。

 もちろん対処しようとは思ったのです。
 とりあえずスプレー式の「ダストブロワー」(右)を買ってきて、それぞれのキーの隙間に吹きかけほこりを掻き出す。それからよく絞った布でキーボードの表面を拭き、キーのコマひとつひとつの周囲は綿棒にアルコールを染ませて丁寧に拭く、そこまでやったのですがほとんど改善は見られません。
 これはもうボード自体の買い替えを検討するしかないのかな、と思ってあれこれ調べて行くうちに、私はついに「シリコン・スプレー」に出会うのです。


【シリコン・スプレー】

 おそらくもっとも一般的な「KUREシリコンスプレー」の説明によると、この商品は、
「金属、ゴム、プラスチック、木、紙などさまざまな素材に使える、シリコーン系潤滑・離型剤」
だそうで、

  • 素材表面に耐熱性にすぐれたシリコーン被膜を形成し、滑りをよくします。
  •  無溶剤タイプなので、金属のほか、ゴム、プラスチック、木、紙などにも使用できます。
  •  潤滑だけでなく、離型、ツヤ出し、防水効果もあります。
  • あらかじめスプレーしておくと、シールやチラシが簡単にはがせます。

と、宣伝されています。
 具体的な使用場面としては、

  •  閉まりや滑りの悪い敷居やサッシに
  • カーテンレールの滑りを良くする
  •  タンスや引き出しに
  •  PCのマウスの動きがスムーズに
  •  ハサミの切れ味がよみがえる
  •  椅子のキャスターの動きが改善

 そして驚きの使用法として、「雪かきのスコップにスプレーすると、雪がスコップに残らず雪かきが楽になります」というのもありました(ああ、三日前にこの部分に気づけば!)。


 私は同じ呉工業の「CURE5-56」が昔から大好きで、ありとあらゆるところに使っていました。しかし基本的に“油”ですので、「乾かない」「べたつく」「匂いがする」「金属以外への使用は不安」等の欠点もあって、なかなか使えない場所も多かったのです。「シリコンスプレー」はその穴を埋める製品です。
 こんなすばらしいものがいつからこの世に存在するのか、私はどれだけ長い間これを知らずに損をしてきたのか――製造元の呉工業の「会社沿革」を見ても、「スーパーシリコンスプレー」という新製品の発売については記述がある(2023年2月)ものの、元の「シリコンスプレー」の発売年は分かりませんでした。いずれしろ、かなり長いこと知らずに来てしまったことは確かなようです。

【シリコンスプレー仕様上の深刻な留意点】

 私は掃除や修理のための道具や薬品が大好きです。
 ですからシリコンスプレーを手に入れてキーボードに吹きかけ、うまく動くことを確認すると嬉しくてうれしくて、家じゅうの敷居に吹きかけ、引き出しという引き出しに吹きかけ、カーテンレールにも吹き付けて、一本丸々使い切るとまた新しいのを買ってきて・・・。
 ただし、
 最初、使い方に十分気を遣わなかったために床にも霧状のシリコンが落ち、あるいはまだ乾いていない敷居をスリッパで踏んづけてそのままあちこち歩き、といったふうにいつの間にか家じゅうの床をシリコンで磨き上げてしまったため、滑る、滑る、注意して歩かないとすぐに転倒しそうなほどになってしまいました。

 たぶん深刻な留意点はそれだけです。ところで件のキーボード、今、裏を見たら“Made in China”と書いてありました。
 ナルホドネ(でいいのかな?)。