妻は毎日、わずか15分ほどで5~8品の料理を用意する。
それだけの技術を持っている。
しかしそれを可能とするのが、あのうんざりするほど多くの、
調理器具たちなのだ。どうする家康(は関係ないか)。
という話。(写真:SuperT)
【妻は15分で8品の夕食を用意する】
昨日は娘一家が帰省したので夕食も特別メニューでしたが、いつもはワンプレートにご飯とみそ汁の学食のような食卓です。
夕飯はそこにひとつかふたつ、小鉢またはデザートがついて朝食や昼食との差別化を図ります。少し豪華に見せるのです。ただしワンプレートと言っても中身は豊富です。
写真は一昨日の我が家の夕飯。
メニューは、
・ 焼きなす
・ キュウリの塩もみ
・ トリのフライ
・ 揚げた小芋
・ キャベツとミニトマト
・ ひきわり納豆
・ ヨーグルト
・ ごはん
・ 小松菜と油揚げのみそ汁
このうち、なす・きゅうり・小芋・ミニトマト・味噌汁の小松菜、納豆に乗せられたオクラは私の畑で採れたものです(ここはちょっと自慢)。キャベツもつくりますが、今の時期はありません。驚くべきはこれだけの料理を、妻は15分以内に用意して出してくるのです。
結婚して35年間、ずっとそうでした。
15分で用意できますからある意味で外食に出るよりも早い。そこで稀に外食の約束をしても、たびたび、
「面倒だからやっぱりやめない?」
ということになってしまいます。
格別におしゃれをするわけではないにしても、店を決めて車に乗り、行った先でメニューを選んで注文して、それから食べ始めるまで、全部で15分以内というのはやはりムリでしょう。だったら家の方が早くていいやという話にもなるわけです。
ではいかにして8種類ものおかずを瞬時に出してこられるのか――。
【作り置きの技術】
もちろん作り置きがほとんどだからです。朝食の準備を朝食前に、夕食の準備を夕食前にしているようでは間に合いません。
前もって余計につくっておいて冷蔵もしくは冷凍し、繰り返し出してくる。例えばカレーなどは1週間から10日ほどかけて3~4回出てきます。1週間に3~4回と言っても毎日3食も食べているわけで、頻度としては21回~30回の食事で3~4回と、まったく苦になりません。作り置きはときに20種類以上にも及びますか、組み合わせ次第ではそのつど新鮮な感じがする場合さえあります。
毎食の準備を15分で済ませるため、妻の調理は必然的に食前よりも食後に行われることが多くなります。流しの中の食器や調理器具が食洗器に移されると(私の仕事)、そこから始められるのが普通です。
一方で日常的に持ち帰る学校の仕事を居間のテーブルに乗せ、調理の合間にこちらも進めます。ノートパソコンのキーを叩いていたかと思うと、台所に行ってまな板に包丁の音を響かせ、手が空くとまた戻ってきて仕事の続きをする、その繰り返しです。しかも妻には「BGD(バック・グランド・ドラマ)というすごい技があって、VTRに撮りためたテレビ・ドラマを合間、合間に見たりするのです。それでもストーリーがつながるらしい。
もっともときには仕事かドラマに熱中しすぎて調理していたことを忘れ、台所がそのままになったり、鍋を焦がしたりすることもあります。
私が鍋の焦げ付き処理にとても高い技能を有するのはそのためです。
【妻、思い切った決意をする】

常に調理をして常に作り置きをつくることの問題は、焦げ付きだけではありません。
とにかく数も分量が多いので、冷蔵庫がいつも満杯だということ。ラップを被せられた椀や鍋あるいはタッパーで、庫内が溢れんばかりになります。今回、台所に引きもどしたもののひとつが専用の冷凍庫だと言えば、どれだけ大量の作り置きがあるのか、想像がつくでしょう。
今の季節はムリですが、中身が入った鍋そのものが、フタをされて調理台の隅で出番を待っている場合もあります。そこには当然、おたまが差し込んだままのものもあります。
昨日、
「おたま5本とかフライ返し3本とか、(中略)全部必要なの?」
の答えが、
「これ、全部必要なのかもしれない」
になったのはそのためです。常に複数、あるいはそれ以上の調理器具がないと回って行かないのです。
そこで台所のリフォームについて、妻は思い切った決断をするのです。
「すべてを棄てて一から考え直す。シンプルライフをめざす!」
え?
なんでそうなるの? 無理だろ?
(この稿、続く)