「面白い話と聞く姿勢の“タマゴとニワトリ”」~落ち着いた雰囲気で授業を行う工夫① 

 昔からそうだが、とにかく子どもたちはひとの話を聴かない。
 聴いてもらえないからついつい教師も固くなる、気が許せない。
 しかしそれはタマゴとニワトリの関係なのだ。
 面白い話をすれば子どもは聴く、聴いてくれれば面白い話も出てくる。

という話。

f:id:kite-cafe:20220414063944j:plain(写真:フォトAC)

 

【ひとの話を聞かない子どもたち】

 昔、小学校の教員を長くやってから中学校に異動された先生に、こんな話を伺ったことがあります。
「やい、やい、やい、T先生(とそんな話し方をする方です)、初めての中学なので戦々恐々としてきたけど、中学生も大したことはなかったね」
 6月か7月ごろのことだったと思うのですが、なぜそんな話をわざわざするのか不思議で顔を向けると、
「と、思ったのは4月いっぱい。いやあ、やはり大変だわ。アイツら全然、人の話を聞いとらん」
 とにかく5月の大型連休が明けたら私語が多くてかなわない、授業にならない、といったオチのついた話でした。

 私は初任校を除くと生徒の私語に苦しんだことはありません。全員が静かに話を聞くというわけではありませんでしたが、授業に差しさわりのあるほどの私語はなかったように記憶しています。
「初任校を除くと」というのは、最初のクラスで学級経営に失敗して、私語というよりは授業中クラスの半数以上が勝手な話をしている、といったとんでもないに事態に陥っていたからです。
 このブログで再三お話ししていることですが、他の先生方から大量のアドバイスをもらったのがこの時期で、そのうちのいくつかは、以後もずっと私の中にあって教員生活を支えてくれたものです。中でも最も重要だったのが、「朝、よい話をしなさい」というものでした。
 
 

【面白い話と聞く姿勢の“卵とニワトリ”】

 人の話を聞かないというとよく話題になるのが成人式、最近では大学の講義も私語に悩まされているといいます(ただし東大の学生はしっかり聞いているとも)。
 単純に考えれば新成人や学生にとって友だち同士の話の方が壇上の来賓や講師の話より楽しいからで、あからさまに「あんなくだらない話、ちっとも聞く気になれんじゃねーか」という人もいたりします。それを伝えるマスメディアも若者の発言を敢えて否定しません。

 しかし市長や教育委員長、大学の先生や高校・中学・小学校の先生たちは、よく聞くとものすごくたくさんの楽しい話・面白い話・ためになる話をしているのです。私は管理職だったころに毎年成人式に出席していましたが(来賓という名の体のいい元生徒の指導係)、教育委員長の話などはずいぶんと面白いものでした。しかし新成人のほとんどは最初から聞いていない。聞いていないから面白くない。あんないい話を「くだらない――」と言うのは、そもそも聞いていない証拠です。

 学校も同じです。私語が多いのは先生の話より友だちとのおしゃべりの方が楽しいからで、しかし先生たちにはたくさんの面白い話をしていて、さらに気持ちよく授業をしていれば楽しい話題はぼんぼん出てくるはずなのです。
 もちろんテレビのお笑い番組ではありませんから、面白い話だけで埋めるというわけにはいきません。1時間の授業の大部分は計算をしたり実験をしたり、あるいは教科書を読んだり歌を歌っているわけで、その間に少しずつ、その「面白い話」は入ってきます。

 ですから子どもたちは「まず聴く姿勢」がなくてはいけません。そして子どもたちに聞いてもらうためには、タマゴとニワトリの関係ですが、先生たちが面白い話をしなくてはならないのです。
(この稿、続く)