「教員は異常集団だと思われているぞ」~「わけの分からない校則」にわけがある①

 3月のYahooニュースは教員不祥事とブラック校則ばかりだった、
 ――というのは私のコンピュータの特殊事情である。
 しかし不祥事や校則で、世間はボロクソに言っているぞ。
 「わけの分からない校則」にもワケはあるのに。

という話。f:id:kite-cafe:20210405073545j:plain(写真:フォトAC)

【ニュースのパーソナライズで、気が狂いそうになる】

 一日のルーティーンとしてやっていることはさまざまですが、そのうちのひとつは「Yahooニュース」をざっと見て、めぼしい教育関連の記事を読むことです。特に何か言いたいことがあると引用元に行ってコピーを取り、「キース・アウト」の記事にしたりします。
 ところが最近困った事象が起きています。Yahooニュースのパーソナライズです。

 Yahooのニュースページを見るとまず頭に8本ほど国際政治から芸能に至る主要な記事が並べられ、その下に日テレやTBSのニュース動画があって、さらに下に「あなたにおすすめ」の記事がずらっと並びます。この「あなたにおすすめ」が曲者で、その部分に並んでいるニュースは、広告を除けばほとんどが教育関係と東アジアの国際政治関連なのです。私が好んでそうした記事を見たり読んだりしてきたからです。

 そんなふうに過去の閲覧履歴や投稿の記録から類推して、閲覧者が好みそうな記事だけを拾い出すことをパーソナライズというのだそうです。ですから例えば妻のコンピュータで見るYahooニュースは(アカウントが違うので)並ぶ記事もまったく違ったものになっています。

 また、程よく教育関連と東アジア関連が並ぶかというとそうでもなく、月によっては東アジア関連ばかりで教育関係が薄く、別の月には教育関係ばかりとなったりといったことがあります。両方とも薄いといった場合もありってアメリカ政治やEUが穴を埋めたりします。
 先月、2021年3月は教育関連ばかりで、しかも「わいせつ関連の教員不祥事」と「ブラック校則問題」で満ち満ちていました。

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 私は特別に「不祥事」や「ブラック校則」が好きなわけではありません。見出しを見て腹を立てるから読むのであって、読むたびに同じような記事が拾い出されるのでは、まるで腹を立てたくてやっているようで、まったくの本末転倒です。

 上の画像で既読になっている「授業中にホラー映画 高校教諭に厳重注意」は、授業中、気晴らしに映画を見せようと考えて、生徒に訊くとホラー映画の希望が多かったので見せたら保護者に訴えられたというもので、人間関係のできている子どもは納得しているのに保護者が訴えるという、よくあるパターンです。
 しかしこんなことまで地方紙に載るのですから油断ができません。要するに「教師は授業以外に余計なことはするな」という教訓ですから心すべきでしょう。
 さて、現在の教育問題の二大潮流は「教師のわいせつ事件」と「ブラック校則」です。前者については最近扱ったばかり()ですから、「ブラック校則」について、これからしばらく考えてみましょう。

kite-cafe.hatenablog.com以下。

【女性も含めて、教員は異常集団だと思われている】

「ブラック校則」の記事がこれほど急激に増えた理由のひとつは、今年に2月15日に“地毛なのに黒染めを強要された”と大阪府を訴えた女子生徒に対して、大阪地裁が「指導に違法性はない」と判決したためです。
 同判決で地裁は「女子生徒の髪はもともと黒だった」と認定しているのですが、マスメディアもネットも、「地毛なのに黒染めを強制された」事件として猛然と噛みつきました。

 もうひとつきっかけとなったのは、小学校の一部で実施されていた「体育の授業では体操着の下の肌着を脱ぐ」という方針です。高学年の女児までというのは明らかに行き過ぎですが、基本的にこれは低学年の話です。少なくとも私の勤務してきた学校ではそうでした。
 小学校の1~2年生の代謝なんて乳児と変わるところなく、夏の体育ではあっという間にびしょ濡れになってしまいます。それが気化熱で急激に冷やされるのですから不健康極まりない――教師はそう考えました。あるいは保護者からの要請だったのかもしれません。
 どちらにしてもあまり深く考えず、“子どものため”と単純に考えて行ってきたことですが、世間的は「教師が女児の胸のふくらみを確認したくてやっていること」と評価され、多くの批判を招きました。

 小学校1~2年生でも胸のふくらみ始める女児はいるかもしれませんが、そんなものに興味を持つ教員がかなりいて、女性教員を含む全教職員がそれを支持して校則ないしは指導の方針としたと思われているわけですから、学校不信もここに極まれりといったところです。

 その他、
 廊下に1列に並ばされて、シャツの胸を開けて下着をチェックされる
 男女一緒の体育館で、下着の色をチェックされる
 下着規制に違反した生徒は、学校で下着を脱がされる

2021.03.31 テレビ西日本「『男女一緒の体育館で下着の色をチェックされる』 理不尽な“ブラック校則” 福岡での実態は?」)
となると、学校の異常性は誰の目にも明らかでしょう。
*もっともこれはテレビ西日本の調査ではなく、福岡弁護士会の調査によって明らかになったものだそうで、これを告発しない福岡弁護士会にも問題がありそうです。

 【すべての決まりにはワケがある】

 私がたびたび引用する教育研究家の妹尾昌俊氏も2019/8/24 Yahooニュース「その校則、ちゃんと説明できますか? ― なぜ、理不尽な校則は変わらないのか」などと言って猛然と校則に噛みつきます。
 スカート丈から下着の色の指定、髪の毛を染めさせることまで、なぜ、学校にはわけの分からない校則があるのか、なぜ直そうとしないのか。

 しかし自分が「わけの分からない」ことは誰にとっても「わけが分からない」と考えるのは不遜ですし、「その校則、ちゃんと説明できます?」と問うて反語的に「説明できねぇだろう」匂わせるのは卑怯です。
 これは妹尾先生に限ったことではありませんが、どうやら校則に疑問を持つ人々の多くは、なぜそれが決まりとなるのか理解できないらしいのです。それならきちんと調査あるいは取材すればいいのに、なぜかこの人たちは丁寧なことはしないのです。

 それは忙しくて校則のいちいちを検討していられない現職教員たちに訊けば、答えられない場合もあるかもしれませんが、私なら答えられます、暇ですから。また、きちんと取材すれば、答えてくれる教員はいくらでも見つかるでしょう(例えば、2021.04.03NEWSポストセブン「『体操服の下の肌着禁止』不可解な校則はなぜつくられるか」に出てくる佐藤先生のような人。内容的には必ずしも賛成しませんが)。

 東野圭吾の「ガリレオ」シリーズの主人公、湯川学先生の口癖のひとつは「現象には必ず理由がある」です。それを模して言えば「すべての決まりにはワケがある」のです。「わけのある」ものを「わけが分からない」と言い放しにするのは怠慢です。

 妹尾先生も多くのメディアも丁寧な取材をしないので、私が教えてあげましょう。別に上からものを申そうということではありません。現場の先生は忙しいのです。こういうときこそ、暇人OBの出番です。

(この稿、続く)