カイト・カフェ

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「メルケルさんの爪の垢でも煎じて飲め!」~丁寧な説明をしない政府への苛立ち

 安倍内閣の支持率がついに27%まで落ちた。
 コロナ対策では日本よりはるかにうまくいっていない国々、
 絶望的な経済的な困難を抱えている国の首脳が、
 それでも支持率を上げている中で、この数字は異常だ。
 とにかくこの国の政府は、呆れるほど丁寧な説明をしていない。

というお話。

f:id:kite-cafe:20200525001613j:plain(「試験管」フォトACより)

 

安倍内閣支持率27%】

 先週末の毎日新聞によると、安倍内閣の支持率は27%まで落ちて不支持率(64%)の半分以下、ほとんど絶命寸前といった状況です。

 今回のコロナ事態で、文大統領が69%、メルケル首相80%、トランプ大統領でさえこれまでの最高値の49%と、各国首脳のほとんどが支持率を上げる中で、いくらさくらを見る会やもりかけ問題、定年延長・黒川問題があったにしても、安倍政権の支持率低下は尋常ではありません。コロナ対策も悪評芬々、世界最低と評されて“安倍・自民党政権にウンザリ”の声はネットやマスコミ上で日々高まっています。

 中には「もう自民党以外ならどこでもいい」などという声もありますが、私たちは同じ思いで10年ほど前に民主党政権を生み出してしまい、さんざんな目にあっています。やはり政治は「何でもいいという」わけにはいきません。また困ったことに、安倍はダメでも代案もない。

 一時期勢いのあった小泉進次郎議員は姿が見えず、石破がいい、岸田がいいという話もなく、ましてや枝野待望論があるわけでもありません。コロナ対策にしても「自民党じゃだめだ、立憲民主なら(維新なら、共産なら・・・)、もっとうまくやったろう」という話も出て来ません。

 代案がない以上は少しずつお灸をすえながら、今の政権を盛り立てていきましょう、新宅を立てる前に旧宅を壊してはいけません、などと言おうものなら袋叩きにあいそうなので私も言いませんが、このまま政府を信じない風潮が広まったままというのも不安です。

 
 

【口下手な政権、説明に労を尽くさない人々】

 もしかしたらこの政権は、多弁な割に口下手ではないかと思うことがよくあります。
 森友問題でも安倍首相は「妻がかかわっているようなら辞めます」などと言わなければ問題の半分以上なかったように思うのです。さくらを見る会でも、謝るべきところはさっさと謝ってしまえばよかった。定年延長問題は明らかに説明不足です。

 さらに言えば、新型コロナ対策のいちいちはあまりにも説明不足で、いつも唐突の感がありました。状況は常に変化していてその場その場の判断を求められる大変さはあります。しかしそれでもより丁寧に説明していけば、これほど非難されることもなかったでしょう。

 いま振り返ってもクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の扱いにあれ以上のものがあったようには思えません。もちろんアメリカのように数千人の乗員・乗客を同時に隔離できる遊休軍事施設でもあればよかったのですが、チャーター機の数百人でさえ苦労している状況で3700人を運び入れる場所など見つけようがありません。

 当時、「早期にPCR検査をしたうえで、陰性の乗客だけでも早く降ろすべきだ」という主張もありましたが、船内は濃厚接触者だらけで、その日の検査が陰性でも決して安心できる状況ではなかったのです。やはり2週間隔離して発症しないこと確認してからでないと帰せなかった、それは正しい判断でした。
 しかし当時、そのことに十分な説明があったとは言えません。

 弁当が届かないこと、薬が届かないことにも理由がありました。けれどなぜそうなっているのかの説明はほとんどなく、担当者が何かの理由で意図的に仕事を控えているのだといった印象しかなかったのです。

 そんなこんなでクルーズ船対策は内外から猛然と批判され続けましたが、終わってみれば結局あれしかなかったのです。前例のない巨大クルーズ船での検疫に不備があったとしても、日本だけを責めるのは酷です。

 4月に入ってアメリカ大使は米国民が受けたケアについて、
「これは優秀な地域医療だけでなく日本の素晴らしい“おもてなし”の心を映し出すものです」
と感謝の気持ちを表しました。

 ダイヤモンド・プリンセスとその前の屋形船、ふたつの船での感染を最小限で抑えて2カ月の猶予をつくったことが、いかにその後の日本にいかに有利に働いたかははかり知れません。遅れてきた分、中国・韓国・東南アジアの国々、そしてその後のヨーロッパ各国の様子を見ながら、良いところ、真似のできるところは全部吸い上げて、後追いができたのですから。

 さらに、苦労された乗客乗員には申し訳ないのですが、「小武漢」「巨大な実験室」と呼ばれたダイヤモンド・プリンセスから得られた多くの知見は、その後の政策決定に大きな影響を及ぼしました。それも日本の運のいいところです。

 

【自分には”能力がない”と言えない】

 3月に入ってからは韓国の成功の影響もあって、PCR検査の少なさが問題となり、今も尾を引いています。結論から言えば、当時も今も、韓国中国並みの検査をする能力がなかっただけの話です。
 政府は4月中に検査体制を1日2万件にしますと約束しましたが、これも予算をつけるという意味で人員配置まで保証したものではありません。人員配置と言えば、地域の保健を統括する保健所の人員も、圧倒的に不足していました。政府の行政改革のおかげです。

 日常生活にサイズを合わせた人員配置だから、緊急時に即応できない、それだけのことで政府はきちっと説明すればよかったのです。
 中国や韓国、台湾やイスラエルなど休戦中もしくは準戦時体制で、自由の制限や余剰人員を抱えることが常態化しているのです。それにふさわしい税負担にも耐えています。
 だから日本は中韓・台湾イスラエルのようにはできない、そう言えばよかったのです。そのうえで、日本には過剰なCTスキャンがあるから大丈夫、日本人の特性のこの部分を信頼してクラスター対策で対応していく、そんな説明をしつくせば、国民も納得し、政府を信頼したはずです。しかし言わない。

メルケルさんの爪の垢でも煎じて飲め”と思うのは、そのためです。