カイト・カフェ

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「新型コロナの死亡率って、ホントはどうなのよ」~今さら聞けない新型コロナ①

 たぶん平均よりは遥かにたくさんのニュースに触れているけど、
 新型コロナウイルス、まったく分からない。
 当初、死亡率0.1~0.2%と言われたのにいつの間にか1%~2%。
 ところが実際にはイタリア9.26%、スペイン6.00%、中国4.03%、
 日本ですら3.79%。
 死亡率って、いったいどうなっているのだ?

というお話。

f:id:kite-cafe:20200324074922j:plain(「暗い未来 不況」 フォトACより)

【死亡率1%~2%ってどこにあるのだろう?】

 新型コロナウイルスについて、死亡率は1%程度だとか2%だとか、いったい何が正しいのかよくわかりません。

 昨日の日経新聞の統計(一昨日の分を昨日取りまとめたもの)を頼りに計算してみると、現在最悪と言われているイタリアが9.26%。スペインは6.00%、フランスは4.02%。かつて最悪だった中国が4.03%です。
 死亡者の数が比較的少なく抑えられていると私が密かに自負している日本でさえ3.79%――とてもではありませんが1%だの2%だのといった数値は出てきません。

 感染制圧の優等生と言われる韓国はどうでしょう?
 調べてみると1.24%で確かに抜群の低さですが、それを言うなら今、急激に感染者を増やしているアメリカ合衆国はわずか0.76%(202/26747)しかないのです。さすが世界をけん引する医療先進国アメリカということなのでしょうか?

 おそらくそうではありません。どうやら死亡率の計算および比較というものには、一筋縄では済まない難しさがあるようなのです。

 

【韓国:異常に低い死亡率のしくみ】

 例えば韓国の死亡率の低さですが、これには三つの要素があります。
 もちろん医療技術の先進性ということが第一ですが、第二の要素として徹底した検査によって、日本などでは見落とされている(かもしれない)無症状の感染者を大量に炙り出したため、そもそも分母が非常に大きいのです。分母が大きければ値は当然、低くなります。

 第3に、他の国々では高齢者の感染例が多いのに、韓国の場合は20代の感染者が28%と際立って高い傾向にあることが上げられます。
 最初の感染爆発が新興宗教の「新天地」だったということもあって若い感染者が非常に多く、新型コロナでは若者の重症化例・死亡例は少ないということになっていますから、これによって死亡率が下がったとも考えられるのです。

 もちろんだからと言って、韓国の数値は当てにならないというつもりはありません。その程度の偏りは、統計学的に修正できるからです。
 無症状の者も含めた感染者という意味では、中国武漢と並んで韓国が最も多くのデータを持っていますから、その数字は今後の研究にきっと役立つはずです。
 将来、最も正確な死亡率は、韓国から出てくるのかもしれません。

 

【中国:感染は収まっても死亡率は上がり続ける】

 中国が感染のピークだった2月上旬、2%と言われた新型コロナの死亡率は実計算でも2%程度でした。しかし先に上げたように現在は4%を越えています。いつの間にか2倍以上に上がってしまったのです。
 どうやら中国政府の言う通り新型コロナ感染が収まっていくにしても、いや収まっていくならなおさら、死亡率は上がっていくようなのです。

 なぜなら今も中国国内には5000人を越える入院患者がいて、その中から今後も死亡者が出続けるからです。分母(感染者)が減っているのに、分子(死亡者)が足踏み状態、それが死亡率を押し上げるのです。
 
 感染と死亡の間にはタイムラグがあります。
 中国でピークが過ぎたのに死亡率が上がり続けるのはそのためですし、つい最近になって感染者が爆発的に増えつつある合衆国の死亡率がわずか0.76%しかないのもそのためです。
 日本の3.79%も今後そう簡単に減ったりしません。もし突然下がるとしてら、それは感染爆発で感染者の数(分母)が飛躍的に増えた場合です。

 しかしそれにしても、新型コロナウイルスの死亡率、実際のところどれくらいなのでしょう?

 

【イタリア:“検査のしすぎ”ができるほどに検査体制がしっかりしていた?】

 イタリアの感染爆発について、三つの原因が指摘されています。
 ひとつは世界第二位の高齢化率(23%)、検査をしすぎて軽症患者も病院に押し寄せ医療崩壊が起こったこと、そもそも緊縮財政のために病院・医師・看護師の数が少なかったこと。

「ポピュリスト政治家のために医療費がタダ同然となったのはいいが、国家の支出が膨大となり、今度は支出を減らすために病院と医療関係者の数を減らした」
というロクでもない仕組みについて知ったのは良かったのですが、高齢化率と検査のしすぎについてはやはり理解できません。
 高齢化率だけで言えば日本はダントツの世界一位(28%)ですから、我が国こそ危ないはず。しかし死亡者は少ない。
 要するにイタリアも感染爆発さえ起こさなければよかったのです。

 一方、「検査のしすぎ」の方も分かりません。
 韓国ではMARS事態(2015)に感染爆発を経験しており、その反省から(前政権が?)十分な検査体制を取っていたというのは理解できます。日本では1日に300件しかPCR検査ができない時期に、1日1万件(現在は1万8千件)もの検査ができたというのですから驚きです。

 それはいいとして、イタリアをみると3月1日に1000人ほどであった感染者がわずか22日間で6万人近くにまでなっています(*)。PCR検査の観点から言えば、陰性だった人や2度以上検査を受けた人、退院のための2度の陰性確認まで計算すると日本の10倍以上の検査能力があったことになります。

 スペインもフランスもアメリカ合衆国も同じです。ということは、先進国の中で日本だけが異常に検査体制が遅れていたということになりますが、そんなことってありえるのでしょうか? いつでも左右を見回して遅れのないようにしているこの国が、です。

 それが私の、第二の「今さら聞けない新型コロナ」です。

*・・・23日中に6万人を越えました。

(この稿、続く)