カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「世間知の学習 1」~病院編

 この一週間 家族にさまざまなことがあってなかなか大変だった
 そこで学んだこと
 もしかしたら世の中に人には「あったりまえ」なのかもしれないが
 世間知にはときどき大穴があったりして困ることも多いので
 いちおう列挙しておく

というお話。

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 【紹介状を持って行かないと料金が上乗せさせられることがある】

 91歳の母が転んで手首を傷めました。

 木曜日の夕方、母から電話があって「さっき転んで手首を骨折したらしい。近くの整骨院に行きたいのだが、電話番号が分からず困っている。調べてほしい」とのことでした。

 そこで疑問点がふたつ。
 私も2度ほど骨折をしたことがありますが、痛みは半端なかった。日ごろから大げさな母のこの落ち着きは、どう考えても骨折だとは思えない。
 整骨院は「骨を整える」と書くが、果たして折れた骨まで整えてくれるのか、なんとなくそんな気はしない。

 午後4時もだいぶ回っていて、離れたところにいる私が駆けつけても、それからでは病院に間に合いそうもありません。骨折でもなさそうです。
 そこで番号を知らせると、しばらくして「6時の予約が取れた」との報告がありました。空はなんとなく暗くなり、今にも降り出しそうです。

 しかたなく車を出して母の足で10分とかからない接骨院まで連れて行くと、いくらもしないうちに戻ってきて、
「やっぱり折れているらしいって。紹介状を出すからA病院に行けって。それ(紹介状)を持って行けば5400円安くなるって・・・」

 ここでまたまた二つの疑問。
 これだけ痛みの伴わない骨折があるのかい?
 紹介状は割引券か?

 病院に救急口から入って手続すると確かに、
「紹介状のない初診の場合は、5400円が別途にかかります」
 まっすぐ来なくてよかった――しかしこれって、明らかに緊急の場合でもどこかに寄ってから来た方がいいってことかい?

 

【痛みを伴わない骨折がある】

 小一時間も待たされたあげく救急医に診てもらうと、手首をあちこち何度も押さえた上でほとんど痛みのないことを確認して、
「どうも折れてはいなさそうですね。痛みもほとんどないみたいですし、少し様子を見ましょう」
 ホラ、ホラ、ホラ、そうじゃない、骨折でこんなに簡単に済むはずがない。
 私は安心して診察室を出ようとします。すると医師が、
「でも、念のため、レントゲンを撮ります?」
 いやその必要はありません、と言おうとしたらそれより先に、
「お願いします」
と母が言う。
 やれやれ。

 91歳の母とゆっくりゆっくりレントゲン室まで歩いて撮影し、またゆっくりゆっくりと戻って待っていると、ずいぶん経ってから件の医師が待合室まで足を運んでくれ、
「どうも折れているみたいです」
 え?
「整形の担当医がいま会議中で来られないので、しばらくお待ちください」

 それからまたずいぶんと待たされて整形外科医に診てもらうと確かに骨折で、ギブスをつけると母は立派な骨折患者になりました。
 それにしても心配性の母が、レントゲンを主張してくれなかったらどうなっっていたのだろう?

 固定後のレントゲン写真を改めて撮って、病院を出たのはもう9時をだいぶ回ってからでした。私はいつも夜を母の家で過ごすので、そのまま実家に帰って泊まることにしました。

 ちなみに5400円は免除されたものの、時間外診療などのために総額で1万300円ほどかかってしまいました。後期高齢者の治療費としては破格の高額です。

 

【痛みが後からやってくる(場合がある)】

 翌朝は何も言っていなかったのに、10時ごろに母から電話。
「痛くなってきてどうしようもないけど、鎮痛剤、飲んでもいいかな?」
「痛かったら飲めばいいだろう。そのために渡されたのだから。なぜ飲まないの?」
「だって治りが遅くなるっていうから」
 たしか昔そんな話を聞いた覚えもあります。しかし一ヵ月もかかる骨折の治療が2~3日延びたって何ほどのことか。母は時々へんなことにこだわります。

 ただ母には気の毒ですが、普通の骨折ぽくなってきてホッとした部分が私にはがあります。まったく痛みのない骨折というものがむしろ不安だったからです。

 

【腫れは、さらにあとからやってくる(場合がある)】

 痛みはそれから三日ほど続き、四日目の土曜日には治まりました。ところがそのころから手首より先がどんどん膨らんできて、日曜日の夜には赤ん坊の手のようにパンパンになってしまいました。
 指先が紫色にならなければ大丈夫と思っていたのですがさすがに“赤ん坊の手”には驚いて、翌日、病院で診てもらうことにしました。翌日というのは昨日のことです。

 月曜日の外来ですから予約患者でいっぱいのはずです。そこで時間をずらして10時半ぐらいに受付をしたのですが、それでも順番の回る様子はなく、名前を呼ばれたのは3時間近く過ぎた午後1時20分ごろ。しかし診察は1分弱で、
「ギブスをするというのはこういうものです。気持ちが悪いかもしれませんが我慢してください」

 診察室を出たところで看護師さんが追いかけて来てくれ、指導がありました。テーブルの前では腕を乗せて過ごすとか寝るときは胸の上に置くとか、できるだけ心臓の高さ以上で保持すること、三角巾の使用も有効だといったお話をさあれ、、その場で首からかけてくれたりもしました。
 有難いことです。

 後悔したのは、なぜ調べなかったのかということです。これだけ検索フェチな私が、どうして「腕 ギブス 腫れ」と検索窓に入れるのを怠ったのか――。

 まあ、そういうこともあるわな、という程度の話かもしれませんが。

                       (この稿、続く)