「『令和』の清新、『令和』の便利」~新元号が発表されたことに寄せて 1

元号が変わる現場に居合わせるのが二回目だからかもしれないが
今回の「令和」は非常にすんなりと心に落ち
早く使ってみたい気分になった
しかも「令和」はとても便利だ

という話。

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 【31年前のあの日のこと】

 昭和64年の最後の日(1月7日)の午後、小渕官房長官が、
「新しい元号は『平成』です」
と発表した瞬間、私の中には非常に強い違和感がありました。
 
 その大部分は現代の若者と同じで、使い慣れた、生きた元号である「昭和」しか知らなかった私たちが、「明日から『平成』を使いますよ」と言われてもピンとこなかったことに主因があります。

 しかしもうひとつあって、それは“昭和天皇が亡くなってまだ数時間しかたっていないのにお前たちは何をしているのだ”といった違和感でもあります。まったく理不尽な話ですが、
「今は喪に服して静かにしているときだろう」
と、そんなふうに感じていたのです。

 その違和感は夜の情報番組で、街頭に出たアナウンサーが、
「あと数時間で新しい『平成』の時代が始まります。新しい時代の訪れることをみんなで喜びあいましょう」
と言った時点で最高潮に達し、何か憤怒に近い気持ちを持ったものです。

 私は特に尊王意識の高い人間ではないと思いますが、ひとりの人間の死がなければ訪れなかった事態(改元)を、喜びを持って迎える気にはなれなかったのです。

 その点で今回の譲位による改元というのは有難いもので、心置きなく楽しみにし、期待を持って待つことができました。

 

【「令和」のイメージ】

「令和」と聞いたときの最初の印象は爽やかさです。
「冷」を連想して冷たい印象を持った人もいたみたいですが、私にとっては「令嬢」「令夫人」の「令」であって、別の漢字を思い浮かべるなら、「玲」「怜」「伶」などの方が意識に浮かんできやすい傾向があります。

  命名辞典よれば、「玲」は「玉や金属がふれ合って鳴る美しい音」、「怜」は「忄(りっしんべん)」が心を表すので「清らかに澄んだ心」、転じて「賢い」の意味をもつ漢字のようです。また「伶」は同じ類推から「澄んだ音色を奏でる人」、つまり「音楽家」を意味するといいます。いずれにしろ美しい印象しかない言葉です。

 女の子の名前として使われることの多い字ですから「令和」から女性的なイメージを浮かべた人もいたみたいですが、それはそれで悪いことではありません。フランスやスペインなど西ヨーロッパの国々では「日本」は男性名詞だそうですから、元号くらいはたおやかな女性の雰囲気のするものを被せておいた方がいいでしょう。

 「れいわ」という発音は角のしっかりした切れ味の良い響きで、口にするとき小気味いい感じがあります。
 内閣府の説明では、法律で決められるのは漢字と読みまでであって発音は規定外、どう発音してもよいのだそうです。多くの人が使っていく中で自然に定まっていくでしょう。
 

【ローマ字の表記としての「令和」】

 ところでローマ字の頭文字表記が「R」だと聞いたとき、私が真っ先に思い浮かんだのは、
「『R1ぐらんぷり』はどうするのか」という問題です。
 今年の「R1(吉本興業主催のピン芸コンクール)」はいいものの、来年は「R2 R1ぐらんぷり(令和2年 R1ぐらんぷり)」になるのかということです。

 それを息子のアキュラに書き送ったら速攻返事があって、
「それより問題はR18(成人指定)でしょ」
と来ました。

 両方とも1分もしないうちにネット上で話題になった平凡な話題です。私たち親子がいかに凡庸かということでもありますが、そんな馬鹿話ができるのも、崩御ではなく譲位による改元だからでしょう。ありがたいことです。


  ところで、「令和」に決まるずっと前から「これは有難いな」と思ったことがあります。それは今回の改元が、年数計算の上でとても便利だということです。
 

【年数計算の便利な「令和」】

 生活をしていると、「前の元号で換算すると今年は何年?」ということが必要になってくる場合があります。
「昭和45年生まれの人は、平成31年の今年、何歳になるのだろう」
といった場合です。
 上の例だと昭和63年から45年を引いてその答えに31を足すことになります。あるいは63に31を足して今年が平成94年だと計算してから生まれ年の45を引くという方法もあります。
 しかしいずれの場合も計算は面倒ですし、昭和が64年まであったのになぜ63で処理するのかと言ったところで躓くと、全然先に進まなくなってしまいます。

 その点「令和」は楽です。令和の年数に30を足せば平成換算ができてしまうからです。
 令和8年は平成38年、令和23年は平成53年とすぐに計算できます。
 それが「令和」の便利な点のひとつです。

 もうひとつ有難いことがあります。

 今年、平成31年が2019年というのは比較的すんなりと言えるところです。しかし「平成21年は西暦何年?」と訊かれてすぐに答えられる人はいないでしょう。
 「令和」はそこがすごいのです。

 「令和」を語呂合わせで数字に当てはめると「018」。これを和暦表記の「令和〇〇年」に足してやると西暦が出てくるのです。
 例えば、「令和25年」は(018+25=043)、つまり西暦で2043年に当たります。

 「昭和には1925を足し、平成には1988を足すと西暦」というのは何度もやっているうちに覚えられるのですが、「21世紀(2000年代)の018(令和)」をたせばいいというのはすぐにも覚えられ、今日から使えます。

 それらのことを考えた上で、譲位の年は平成31年、新元号は「令和」と決めたわけではないでしょうが、よくできたものです。

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                          (この稿、続く)