「町田都立高校教師暴力事件」~子どもたちは天使じゃない1

東京町田市で起こった都立高校教師暴力事件
もしかしたら生徒が仕組んだ罠だったのかもしれない。
ネットは炎上、マスメディアも遅まきながら
普段したことのない被害者側非難・生徒非難を始めたが、
しかしやっぱり、あの人たちは分かっていない
というお話 

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【起こったこと】

 東京都の町田市の都立高校で起こった体罰事件がネット及びマスコミで話題となっています。
 報道上の発端は朝日デジタルの次の記事です。 

www.asahi.com

都立高校の教員が体罰 生徒引きずる動画がネットで拡散
2019年1月18日11時58分
  東京都立町田総合高校(町田市)で、男性教員が生徒に暴力を振るっていたことが18日、わかった。その際の様子を映したとみられる動画がツイッター上で拡散。学校側は、動画の内容を把握し、「教員が体罰をした」と取材に認めた。都教育委員会も報告を受けており、処分を検討する。

 同校によると、校内で体罰があったのは15日。ツイッター上の動画では、教員とみられる男性が口論の後、生徒の顔に手を出し、倒れた相手をつかんで引きずる様子が撮影されていた。男性が「ふざけんじゃねえよ。誰に言ってるんだよ」と怒鳴り、他の生徒が止めに入る様子もあった。

 同校によると、生徒は口の中が切れるけがをした。男性教員は「感情的になってしまった。反省している」と話し、現在は生徒指導から外れているという。信岡新吾校長は「体罰はダメだと常々、教員に指導してきた。生徒に申し訳ない」と話した。

 
都教委にも15日、学校側から「体罰があった」と報告があったという。

 実にありふれた体罰事案です。
 別の報道(フジテレビ『直撃LIVE グッディ!』)では、マスコミの取材に対して東京都教育委員会も、
 学校の聞き取り調査などの報告を受けて当該教員に対して懲戒を含むしかるべき対応をとる
と答え、
 当該校の学校長も、生徒側に校則違反などの問題はまったくなく、教師の一方的な暴力であって、
 生徒本人の心のケアを含めて保護者の方とうまく連携・協力しながら、学校のできるかぎりのことは誠実に取り組んでいきたい。
と回答しています。

 通常ならこれ以上の追加報道のない事件なのですが、今回は少し様子が違っていました。 

 

【仕組まれた暴力(?)】

 何が違うかというと、まず同じ場面を映した動画がこれ以外に2種類、計3本もSNS上に上っていたことです。つまり撮影者が3人以上いて、まるで事件が起こることを予見したかのように事の一部始終を撮影していたのです。

 さらに長尺の動画で教師と被害生徒のやりとりを確認すると、まず最初に撮影者のひとりの、
ツイッターで炎上させようぜ」
という言葉があり、それから教師とそれを激しくなじり挑発する生徒とのやり取りがあって、そのあとついに教師が激高し「なんだ、てめえ、この野郎」と叫んで暴力に至る――最後は駆けつけたほかの教師や生徒たちに止められることになります。

 何について言い争ったのかというと、暴力を受けた生徒は日ごろからピアスをしてくるなどの校則違反を繰り返しており、どうしてもピアスを外そうとしない生徒のことを教師が陰で「アイツ、病気じゃないのか」と言ったらしいのです。それを聞きつけた生徒が授業のために教室に来た教師を「表に出ろ」と呼び出し、噛みついたのです。 

  言葉が聞き取りにくいので簡単にまとめたものを示します。(フジテレビ『直撃LIVE グッディ!』より)

(撮影者:ツイッターで炎上させようぜ)

教師:どうしたいんだよ。
生徒:どうしたいんじぇねえよ。どう落とし前つけんだよ。脳みそないのかよ、小さい脳みそでよく考えてみろよ。
(撮影者の笑い声)
教師:(ピアス)外せって話だろ
生徒:ちげーだろ
教師:同じだろ
生徒:はっ? ちげーだろ なんで嘘つくんだよ
教師:(きみは)病気じゃねーよ
生徒:は? 病気つったんだろーが!
教師:てめーこの野郎!ふざけんじゃねえよ!(と言って殴る)
(撮影者:えっ!?えっえ?)
教師:オマエ!だれに言ってんだ、オマエよ!
(他の教師。生徒が止めに入る)

  この動画はツイッターに上げられた際、「教育委員会、よろしく」といったメッセージも添えらていたようで、自ずと撮影者の意図が知れます。そして彼らの希望通り、というか、それ以上の大炎上となったわけです。
  もちろん生徒に対して非難ごうごうです。 

 

【マスメディアの扱い――彼らは何も分かっていない】

 ニュースショウやバラエティでは、“もちろん暴力をふるった教師は悪いが――”という条件付きですが、挑発に挑発を重ねた生徒のあり方、それを撮影した3人の仲間のあり方、あるいはもっと早い段階で対処しなかった保護者のありかた、さらには生徒指導担当教師ひとりを前面に立たせた学校のありかた、「生徒には全く問題はない」とした学校長のあり方などが問題とされています。

  暴力をふるったことは悪いが(ここはお定まり)、このような状況で教師が退職に追い込まれると、子どもたちに何をやっても相手に暴力をふるわせたら勝ちだという間違ったメッセージを送ることになる、というのです。

 もちろんその通りです。しかしいくつもの点で“メディアおよび世間の人々はまったくわかっていません。

 そんな挑発と暴力の風景は大昔から学校の中にあったし、その段階で親は子どもの指導なんかしていなかったし、生徒指導担当教諭は常に対問題行動の最前線にいたし、学校長はあんな言い方をしてきたからです。 

                  (この稿、続く)