カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「ゴールデン・ウィークなんてなくていい」〜と先生たちが言っています。

 5月になりました。
 ゴールデンウィークの真っ最中です。今日明日頑張ればあとは5連休。頑張りましょう。

 ところでそれは、今日明日二日間を休みにすればなんと9連休だったということで、企業の中にはそんな計らいをしているところも少なくないのかもしれません。しかし官公庁はもちろん、学校でも9連休にしているところはめったにないと思います。

 私はかつて、翌年の年間暦の下地をつくる係だったことがあります。
 学校というところは基本的に年単位のルーチンワークで、毎年毎年同じ時期に同じ行事を行い、同じ単元を教えています。ですから“年間暦の下地づくり”といっても8割から9割がたは前年の内容を写しておけばいいだけ、曜日の移動による調整に気をつけ、外部から連絡のあった計画を落とさないよう注意していればいい、楽な仕事です。

 けれど楽な仕事というのはたいていが退屈な仕事で、だから年間暦づくりでも残る1〜2割の部分で何とか工夫できることはないものかと、あれこれ思案するのが常でした。
 そこで真っ先に目をつけるのが休日の取り方です。

【学校の登校日はどうやって決めるのか】

 学校の授業日数というのは大枠が学習指導要領で決まっていて、基本は35週ということになっています。
*だから道徳の時間は年35時間、6年生の国語は175時間、同じく社会科は105時間と35の倍数になっているのが原則です。ただし最近の指導要領では、6年生の音楽50時間、家庭科55時間みたいに35の倍数になっていない例もあり、これだと授業が週2時間の時期と週1時間の時期を使い分けなくてはならなくなり、すこぶる不便になっています。

 35週というのは学校五日制のもとでは175日に当たりますが、遠足だの修学旅行だの音楽会だのをやっているととてもではありませんが足りなくなります。そこで実際には登校日を増やし、全国的には190日〜210日くらいが日数の相場となります。都道府県ごとずいぶん差があるみたいです。

 私の住む地域では、県の動向をうかがいながら市町村教委が日数を決めますが、その日数さえ守れば休日をどこに取るかは学校ごと自由に決められます。つまり今年度について言えば、夏休みを二日減らしてその分を今日明日に回し、9連休にするのも難しくはないのです。
 考えてみれば3月の卒業式から年度末書類整理、引き継ぎ、異動する先生方は引っ越し、新年度準備、入学式・始業式、各種オリエンテーション、同窓会入会式、児童会・生徒会発足、全国学テ、家庭訪問等々、不眠不休で働いてきたのです。緊張してきた子どもたちにも疲れのみえる時期です。ここらでドーンと9連休! 
と、係の私は大盤振る舞いで提案するのですが・・・。

【ところが】

 実現したことがない。  担任の先生たちにすこぶる評判が悪いのです。
「だって一か月もかけてつくってきた習慣が全部吹っ飛んじゃうんですもの。5連休だって長すぎるくらい」

 いやはや学校の先生というのは大したものです。
 習慣なんてまたつくればいい、一学期の終わりくらいまでにシャンとすればいい、とは絶対に考えないのです(私は考えたけど)。
 できるだけ早く学校の生活に慣れさせ、熟達させ、一日でも早くきちんとした学習を行って力をつけてもらいたい、と本気で考えているのです。連休を使って十分に休もう、遊ぼうといったことは微塵も考えていません(私は考えたけど)。

 自分自身が教員でしたが、私は最後まで先生たちに対する尊敬の気持ちを失いませんでした。よく見れば多少首を傾げる人もいないわけではありません。しかし基本的には子どもたちのために、平気でさまざまなものを犠牲にできる人たちです。