カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「芽を摘み枝を打ち」~早く手を入れ、適度なストレスを与えるのが大切

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 玄関脇のハナミズキがたくさんの花をつけました。葉がこんなに茂る前に写真を撮ればよかったのですが、うっかりしていました。しかし緑の中のピンクと白というのも悪くはありません。
 緑と赤は反対色ですから人間がつくるとどうしてもうまくいかないのですが、草木に任せるとすばらしく調和します。よくできたものです

 さて今年のハナミズキは特に華やかでした。植えた場所が悪くて毎年10個ほどしか花をつけなかったのです。それが今年は満開の体(てい)。こんなことなら毎年、手を入れておけばよかった、そんなふうに思いました。
 では今年は何をしたのか。
 実は2月の末に密生していた枝を払い、全体の形を整えておいたのです。植えて22年間で初めてのことです。

 例年は梅雨時から初夏にかけての良く晴れた日、それまでに伸びきった樹木の飛び出た枝先や妙な方向に曲がった枝などを切り、それで終わりにしていました。全体を整えるだけだったのです。ところが今年の2月、新聞に入ってきたタウン誌の中に、「果樹の整枝の仕方」という右のような図が載っていて、
「落葉樹は2月〜3月にかけて、常緑樹は新しい枝が伸びきった梅雨時以降に整枝します」
とありました。果樹は昨年秋、訳もわからぬままバンバン切って小さくしてしまったのでもう切る枝がなく、そこでハナミズキヤマボウシに挑戦してみたというわけです。タウン誌に書いてあったとおり、ひと枝ひと枝、「徒長枝」「ふところ枝」に「逆さ枝」とか呟きながら切りました。そしておそらくそのために、今年は花をいっぱいつけたのです。

 一般に、植物は死なない程度にいじめると花や実をたくさんつけます。ブドウやナシは雨が多いとおいしい実をつけません。トマトなどてき面で、肥料をたっぷり与え熱心に潅水を行ったりするとさっぱりおいしくならないのです。キュウリも実がなったらガンガン収穫しないと次が育ってこない感じがあります。
 花で言えばクンシランなどは鉢を大きくして余裕をつくってやるとむしろ立派な花をつけません。花によっては根詰まりすると枯れたり咲かなかったりするものもあるので一概には言えないのですが、植物は適切にストレスをかけることで花実をつけます。
 おそらく個体として環境が良すぎると無理して子孫を残す(花を咲かせ実をつけてタネをつくる)ことを怠るのでしょう。本人が“ヤバイ、死ぬかもしれん”と感じて初めて頑張る、そんなふうなのかもしれません。
 スイカなども寒暖差が激しく、夜の寒さに(スイカが)不安になるような地域で甘いものができるそうです。シイタケは菌を植えこんだ原木を木槌で叩いたり原木ごとコンクリートにぶつけて嚇かしたりします。

 人間だって適切なストレスを与えないと育たない。

 もうひとつ。
 樹木に手を入れるという立場から改めて私の庭を見ると、長年放ったらかしにした木々はほんとうに惨めです。

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 最近ようやく葉をつけ始めたカエデなど全くその通りで、ねじ曲がって他の枝に絡みついたようになった枝を見ると可愛そうになったりします。
 最初に植えた日から手を入れてやればよかったものを、今頃になってノコギリを入れても、傷むだけでさっぱり美しい姿にはなりません。

 これも人間と同じです。