「子どもが学校に行かないと言い出した時に、親としてなすべきこと」⑦〜急ぐべきとき、そして問題センサー

 15年半に渡って保育園も幼稚園も、小学校も中学校も、そして高校までも休まなかった娘が「学校に行けない」「校舎に入れない」という危機に際して、私は一晩のうちに50kmの道のりを2往復し、話し合い、解決策を見つけて娘の気持ちを掬い取りました。
 娘一人では対応できそうにないので3日後には部活顧問に会い、きちんと話をした上でケリをつけました。

 高校生にもなった子にそこまですることはない、自分で対応させるのも経験だという考え方もあるでしょう。しかしこの場合、私はそうは思いません。問題は困難の主観的大きさと本人の対応力です。
 客観的にどれほど些細に見えても、本人に重すぎる課題は“主観的に大きすぎる困難”です。当人がどう感じているかが大切なのです。また対応力は、その子の育ちやその時期の精神的健康状態に左右されます。
 主観的に困難が大きすぎ本人の対応力が弱っているようなら、それが子どもであれ大人であれ、誰かが間に入ってやらねばなりません。今回はまさにそうした例です。

 世の中にはじっくり腰を据え時間をかけて取り組まなければならない問題があります。しかし逆に時間をかけず、短期間に大量のエネルギーを注いで取り組まなければならない問題もあります。不登校やいじめ、非行問題がそれで、初期に一気に解決を図らないと必ず長引きます。長引いてよいことは何もありません。
 そしてそのことは“初期段階で問題が発見できること”の重要性を示唆します。子どもが問題を抱えているとき、親が感知できなければならないのです。
 娘には幸い“問題センサー”がついていました。“15年間無欠席”です。「決して休まない子が学校に行けない」――これほど強烈な警告はありません。私が対応を急いだのもそのためです。

 学校教育にはいくつもセンサー技術があります。服装だとか髪型だとか授業前の挨拶だとか、生徒手帳に書かれている細々とした校則です。普通の子は親や教師と対立するのはめんどうくさいですから、校則などというつまらないものに挑戦してきたりしません。挑戦してくる子は、心に何らかの問題を抱え始めている子です。こうして教員は多数の児童生徒の中に特定の子の問題を発見します。

 家庭でもいくらでもセンサーはつけられます。小遣いを最小限に絞って贅沢をさせないとか、子ども部屋を常に整頓させておくとか、あるいはどんな場合も家族どうし朝晩の挨拶を欠かさないとか、いくつかのルールをつくって守らせておけば、異変はすぐに察知されます。

(この稿、続く)