日本人が足を引っ張る

 今週の「たかじんのそこまで言って委員会」は「世界に誇る日本の7つの力」という特集で、技術力・映画力などを挙げてコメンテーターが採点する、というものでした。その四番目が「教育力」です。

 番組の冒頭、

「みなさんは日本の教育が世界的に高く評価されていることを知っていますか」

ということで、PISA(国際学習到達調査)を行っているOECDが今年日本の教育に関する報告書を発表し、「日本は一貫して高い平均得点を維持することに成功している」と断言したこと、またOECDのある幹部が「日本の教育はパフォーマンスが高いだけでなく、クリエイティブに問題を解決する想像力も増大している」と絶賛した上、「学校と家庭のつながりが強いのも日本の資産だ」と日本独自の教育環境に注目していることも取り上げました。

 さらにある雑誌の編集者が教育先進国であるフィンランドに行ったところ、逆に現地の先生たちから「日本の教育について教えてほしい」と頼まれたという逸話、人口1億人を越える日本がPISAで上位にいることは世界から驚異の目で見られている、といった例も挙げています。

 しかしそれなのに出演者たちが日本の教育に与えた得点は1000点満点中のわずか495点、半分にも満たないのです。

 どこが不足かというと、大雑把に言って「明らかな学力の低下」「道徳教育の不足」そして「誤った歴史教育」の3点にまとめられます。その「誤った歴史教育」の背後には日教組文科省がいて、この二つが日本の教育をダメにした、それがコメンテーターたちの意見です。ある意味、非常にマスコミに毒された見方と言えます。

 出された意見の中には相変わらず「円周率は3」などといた話があります(旧指導要領では「円周率としては3.14を用いるが、目的に応じて3を用いて処理できるよう配慮する必要がある」。それはそうだ、切り株の直径に3.14をかけて幹の周りを計算するヤツはいない)。

 また評論家の勝谷某はしたり顔で「フィンランドでは先生たちは全員修士号を持っているんです。大学院へ行って6年間勉強してるんです」などと言っています(正しくはフィンランドの大学の最低修業年数は5年。《大学院ではなく》“大学”を卒業すると全員修士)。

 さらに「だから親に対しても上から目線でものが言える」とも主張します(私は大学院を出ていますが、それで尊敬してもらっているとも思いません。同じく院卒の人に対する私の気持ちも「勉強好きなんだね」「暇だったの?」「お金あったんだね」「大卒の時に人生決められなかったってわけ?」といったものです)。

 改めてまた書きますが、私は「いまどきの若いモンは―」といった愚かな言い方とそっくりの雰囲気で「現在の日本の教育は―」と語られることを激しく嫌悪します。「いまどきの若いモンは―」と言っても何も始まりませんが、「現在の日本の教育は―」は無用な“教育改革”を引き起こします。

 番組の冒頭にあった「世界に高く評価されている」日本の教育が、日本人自身の手によってこねくり回され壊されて行くのです。

 日本のジャーナリズムや政治の、なんと浅はかで危険なことか!

 もっとも今回の「たかじんのそこまで言って委員会」には一つだけいいことがありました。「7つの力」の「教育力」に次ぐコーナーは「ジャーナリズム力」でしたが得点は1000点満点中のわずか370点。「7つ力」の中で最低です。

 自己評価は良くできるみたいです。