「捨印(すていん)」~それってなんのこと? なんのため?

「教員は常識がない」とか「学校の常識は社会の非常識」などと言われるとたいていの教師は(社会経験がないので)一歩引きます。
 しかし考えてみれば教師が世間の常識を知ったらこんなアホな献身的な仕事はできませんから、世間知らずでけっこうなのです。とりあえず年がら年中持ち帰り仕事をしているサラリーマンといったら教員くらいなものです。企業はほとんどがチームプレーですから、持ち帰りの仕事は少ないのです。また年休を取らないのが美徳なのも教員らしいもので、大企業であればあるほど休暇を消化しないのは悪徳です。

 ですから世間ずれしていないことをそんなに恥じる必要はないのですが、しかし無知のために損をするのはやはりもったいない。何が必要で何が不必要なのかもわかりませんが、一応、契約とか大きな物品の購入とかで「不思議だな」と思うことは調べておいた方がいいのかもしれません。

 昔の教員は多忙のために、その“聞く”ということすらできなかったのですが(とりあえず誰に聞けば分かりそうなのかを調べ、聞くことを整理し、その“誰か”に会いに行かなければならないのですから)、今はインターネットという便利なものがあります。中にはものの3分で分かることもあります。

 さてその上で、前からずっと気になっていたものに「捨印」があります。様々な書類交換の場面で、「ではこことここに印をお願いします。あ、それから欄外のここに『捨印』を押していただいて・・・」とか言われてポンポコポンポコ押していたのですが、あれは何なのでしょう?
 なんとなく「この印は本物です」といった証明のように思っていたのですが。下の署名の横に押してある印が本物かどうかなんて、同じ印を押したところで証明したことにはなりません。
 そこで調べてみると・・・

「捨印」とは、契約書の記入ミス簡易に処理するため、予め欄外に押捺する印こと。契約書を取り交わした後で誤字や脱字を見つけた場合、その都度契約者のもとを訪れて訂正印をもらうのは面倒なので予めもらっておく訂正印。処理するときは捨印の上に「2字削除、2字追加」などと書く。ただし場合によっては訂正権を丸ごと相手に与えてしまったような行為で、危険なことこの上ない。
とのことです。

 日本は高度な信用社会ですので大手の銀行や企業まで疑い始めたらきりがありませんが、借用証書や委任状、保証人に関する書類などはよほど特別な事情や高度の信頼関係のない限り押さない方が良いみたいです。捨印のあるなしで契約書の有効性が左右されることはないそうです。

 しかしこの「捨印」、教員である私は知りませんでしたが、果たして世間の人が皆知っている常識なのでしょうか?
 常識のない教員の私には良く分からないところです。