カイト・カフェ

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「成長の階段」~子どもの成長は緩やかな上り坂ではない

 ずいぶんと昔の話ですが、下の子が言葉が遅く、一時期は本気で心配したことがありました。こりゃダメかもしれないとほんとうに思い始めたころ突然に言葉が流れ始め、今度は止めるのが容易ではないほど納まらなくなってしまいました。ちょうど満水になったダムが決壊して、収拾がつかないような感じです。

 走り高跳びや鉄棒の指導をしている思うのですが、例えば「1m30cmを跳ぶ」とか「逆上がりができるようになる」といった目標を立て、がんばって練習をさせてもよほど能力のない子でない限りいきなりできたりはしません。運動の苦手な子などは、信じられないくらいダメなことがあります。ところが、不思議なことは、それでもがんばって練習し続け一度できると、今度は「できない自分」に戻ることがほとんどないのです。あれほど難しかった1m30cmや逆上がりは、どうしてあんなに難しかったのだろうと首を傾げるくらい簡単にクリアできるようになり、新たな目標の設定が必要となります。

 赤ん坊が歩けるようになることも、自転車に乗れるようになることもみんな同じです。語学だってある日突然「アレ? 自分、聞き取れてるじゃん」といった具合に、一気に成長の階段を登りきるようなのです。

 私が先輩から教わった最も重要な話のひとつが「子どもの成長は右上がりの直線ではなくて、不揃いな階段なのだよ」ということです。

 成長が停滞し、いくら努力しても延びない時期があって、しかしがんばっているとある日突然スコーンと抜ける感じで大きくステップアップする。そして再び停滞が始まるのですが、その時期の長さは誰にも分からない、そんな感じです(印象としては停滞と努力の時間が長ければ長いほど、上がるステージはさらに高くなるように思います)。

 学校の教科でいえば、国語などはかなり長い時間辛抱しないと成績は伸びませんし、しかし一度ステップアップすると、普通に努力している限り、階段を下りるということもありません(私のような年寄りでなければ)。

 それは子どもを励まし、その「子どもを励まし」ている自分を励ますときに、いつも思い出すことです。

 肝心なのは、延びない時期にがんばること!