受けてみたフィンランドの教育

 今読んでいるのは、実川真由 /実川元子 著「受けてみたフィンランドの教育」(文藝春秋 2007)という本です。高校2年生でフィンランドに留学した女子生徒の体験記とその母親の補足によって作られた本です。

 学力世界一の誉れ高いフィンランドですが、世界一の秘密はそう単純なものではなさそうです。

 例えば、「教師は全員修士であることを義務付けられているから優秀だ」ということで、日本でも教員養成課程を大学院まで伸ばそうという計画があるようですが、フィンランドの場合、大学は基本的に5年以上通うところで、卒業と同時に修士号が与えられてしまうのです。つまり大卒は全員修士なので、ことさら教員だけが大学院に通ってくるわけではないのです。

 ただし教員が優秀というのは事実で、ちょうど日本で学校の勉強が飛び抜けてできると一応は「医者に」と考えるように、フィンランドでは「優秀な子は教員に」という風土があるみたいなのです。給与は高くありませんが、何と言っても2ヶ月半に及ぶ夏休みや、4時には帰宅できるといった生活上のゆとりが魅力なのです。

 教員は特に頭の良い人がなる仕事という前提があるからでしょうか、生徒も保護者も教師というものをものすごく尊敬していて、授業で居眠りをしたり私語をしたりといった生徒はまずいません。

 フィンランドのテストは、徹底的に論文形式で行われます。音楽も数学も論文ですから、テスト前は大量の本を読み、知識の詰め込みをしなくてはなりません。日本の子どもが教科書の中にある単語を詰め込んでいるとき、フィンランドでは、もっと広い意味での知識の詰め込みをしているのです。

 その論文形式のテストをどう採点しているかというと、フィンランドでは教師にゆとりがあるのでそう難しくはないのです。4時には帰宅できるという時間的ゆとりとともに、1学級16名〜25名という少人数で、勉強しかみませんから余裕はたっぷりあるのです。

 落第が平気な国です。「受けてみたフィンランドの教育」の実川さんのホームステイ先の子どもも、3人中二人が1〜2年間の留年をしています。

 OECDの国際比較テストで、フィンランドは読解力で飛びぬけた成績をはじき出していました。繰り返される論文式テストが力の源であるのは間違いないにしても、これだけ落第のい多い国で、どういう子がOECDのテストを受けているのかと、ちょっと首をかしげました。中学3年生といってもいろいろな年齢の子がいますし、中3としての実力がないと3年生になれない国だからです。