カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「奇跡の人たち」~アン・サリバンの同胞、つまり私たち

 アメリカの西部開拓時代、職業別で最も多く殺されたのは教師だったという話を聞いたことがあります。開拓地の奥深くまで入り、学校を建て、子どもを集めて教育する人々は、開拓者から見ると貴重な労働力(子ども)を家庭から奪う簒奪者にしか見えなかったようです。

 革命前夜のロシアでも、“ヴ・ナロード(人民へ)”を合言葉に地方へ下り、子どもの教育を行おうとした若者たちが反政府主義者とみなされて次々と投獄され、殺されました。ナロードニキと呼ばれる人々です。

 ポルポト政権発足時のカンボジアでは、「新しい時代を築くためにはキミたちの協力が必要だ。教職にあったものは前へ出よ」と言われて、素直に出た教師たちが、一纏めにされ惨殺されました。

 日本でも、吉田松陰梅田雲浜橋本左内といった人々は皆、教師です。

 大げさですが、私は時々、自分がこういう人たちの末裔であることを強く意識します。

 私が最も尊敬し、かくありたいと思う教育者はヘレン・ケラーの家庭教師だったアン・サリバンです。現在の規格からすれば体罰だの虐待だのと言われかねない指導ですが、サリバンがいなければヘレンが生涯けもの同然の生活を送ったことは間違いありません。二人の生活を描いた映画の「奇跡の人(The Miracle Worker)」というのはヘレンのことではなく、ヘレンに奇跡を起こしたサリバンのことです。

 教育というのは、命を懸けるにふさわしい仕事だと思っています。

 さて、今日は今年度前半の最後の日。頑張りましょう。