Sくんがパニックになって桜田先生のところへ連れてこられました。桜田先生はSくんをいつも遊んでいる場所に連れて行って、「落ち着くまで、粘土遊びをしていていいよ」と話し、感情が鎮まるのを待ちます。
技1「感情が高ぶっている状態では何を話してもダメ。まずはクールダウン」
しばらく落ち着いたところで「◯◯時◯◯分になったら、どうしてそんなふうになったか聞くから、考えておいてね」と言ってその場を後にします。
技2「複雑な話をするときは予告。心の準備をさせておく」
時間が来たら何があったか話を聞きます。このときのキーワードは「言語化」。
あった事実を言葉にできることが肝心です。別な言い方をすれば「客観化」あるいは「対象化」と言います。「対象化」は、しばしばルビに「もの・か」と書かれるように、自分の内面から外に取り出し「モノ」として観察できる形にすることを言います。 すると自然に反省が生まれますから、余計なお説教はしないで済むのです。
昔、さんざん書かされた「反省文」というのも、大切なのは反省ではなく、自分が何をしたかという事実を書くことによって、それを客観的に見させることです。もしかしたら警察の「調書」にも同じ働きがあるのかもしれません。 客観的に見ることで、おのずと罪深さが見えてくるのです。
技3「自分の行為を自分から切り離して、考察できる形にする」
それから、「もし、また同じようなことがあったらどうするのか」を二人で考えます。同じようなことがあったとき必ず生かされるというものではありませんし、生かされない場合の方が多いのですが、10回に1回でも生かされるようだったらそれが成長です。大いにほめて上げられます。
技4「また同じことが起きた場合どう対処するのか考えさせ、次の行動への礎とする」
最後に、必要があれば必要なところへ行って謝らせます。そうしないと、反省して潰れた心が救われないからです。「自分はダメなやつだ」と思わせたまま、放り出してはいけません。
技5「謝らせて、事態を完全に収束させる」
以上は、精神的な混乱(パニック)の場合だけでなく、万引き等不良行為の場合も、喧嘩などの友だちとのトラブルにも通用する基本的パターンです。
技を見せてもらいました。
以上で、道徳の授業を終わります。礼!
(↑ Sくんの最後の言葉。道徳だと思ってたのか?)