カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「チケットはないが・・・」~日本人の道徳性

 先日のサッカー・アジアカップ、オーストラリア戦。
 ひとり足りない相手に結局PK戦というストレスの多い試合でした。しかしがそもそもサッカーというスポーツ自体がストレスフルなもので、選手がやたら髪を染めたり刺青をしたりサポーターが荒れるのも、そんなところに理由があるのかもしれません。

 1998年のフランス大会では、大量の日本人サポーターがフランスに渡ったものの、現地で渡されるはずのチケットが実際には存在せず、何千人もが屋外で観戦するという異常事態が起こりました。おまけに試合も全敗ですので、ストレスも極みです。

 しかしその中にあって、日本人サポーターは対戦相手へのエール、試合前後の国際交流、会場の清掃など、マナーの面で際立った姿を国際社会に見せました。

 もともとJリーグ発足の当時から、本格的サポーターは競技場にゴミ袋を持ち込み、試合後は清掃をして帰るのが習慣になっていましたから、フランスでも同じことをしたに過ぎません。しかしイギリスのフーリガンに代表されるように、サッカー観戦は大暴れし汚す場と心得ているヨーロッパの人々からみると、これはむしろ異様な光景だったようなのです。翌日の新聞には、日本人のこうした態度を絶賛する記事が新聞各紙に載りました。
「チケットはないが、エチケットならある」

 同じ日本人として非常に誇りに思うと同時に、こうした伝統は絶対に残していかなければと、強く思わされた出来事でした。