カイト・カフェ

毎朝、苦みのあるコーヒーを・・・

「自動販売機方式生徒指導」~目の前のいじめをとりあえず止める方法

 自動販売機というのは便利なもので、120円の商品なら120円以上の硬貨または紙幣を投入し、その上で「D-1 COFFEE スーパーブレンド」とかいったボタンを押すと「D-1 COFFEE スーパーブレンド」が出てくる、それが当たり前です。ボタンがランダムで、押すたびに「チェッ、今日は『かほる和果実 ゆずみかん』だった」とか「今日は『たのむぞ GABA』かあ、残念!」とかではかないません。

 先週、いじめ問題について「罪深さを知る」というお話をしましたが、これは本質的ではあるものの、ある程度時間のかかる指導です。「そんな悠長なことは言っていたら、明日あの子は自殺してしまうかもしれない」、そんな場合だってあります。では、今日明日のいじめはどう止めたらいいのでしょう?
 私はそれを「自動的なチクリ=自動販売機方式生徒指導」で凌ぐことにしています。

 まず、いじめに関する一通りの調査が終わった後、被害者の生徒に対してこういう話をします。
「今日、キミは正直な話をすべて私に話してくれたよね。その情報に従って明日からいじめた生徒たちに対する指導を始める。もちろんキミがしゃべったなんてことは絶対に言わないようにする。けれどもしかしたら話の持って行き方がまずくて、キミがしゃべったことがバレてしまうかもしれない。その上でもしかしたらキミがあの子たちに呼び出されるかもしれない。
 そうなったら呼び出された時点ですぐに私のところへ来なさい。呼び出した連中をすぐに私が呼び出して、厳しく指導する。親にもすぐに連絡する。それでもし「また、チクッたな」と言われたら、またすぐに私のところへ来なさい。あの連中がキミに嫌なことをしたらキミはすぐに私のところに来て、私は自動的にあの子たちを呼び出す。いつやっても、いつも同じことが起こる、それが自動販売機方式だ。

 これはキミを守ると同時に、あの子たちを悪いことから守る方式だから、もしキミが私の言いつけを守らないで呼び出されても黙っているようだったら、今度は私がキミを呼び出す。呼び出した上で今度は私がいじめるかもしれないよ」
 被害者にそう言っておいて、加害者にもそのことを伝えます。「あの子がチクるとしたら、それはあの子の意志ではなく、私の指示だ」ということを明らかにしておくためです。
 たぶん普通、いじめはそれで止まります。しかしそれは「止めた」だけのことですから、本質的な問題解決は、別に必ずやっておかなければなりません。